契約は口頭でも成立する？契約が成立する要件と3つの注意点について解説

契約は口約束でも成立する

結論から先に申し上げますと、契約は口約束でも法的に成立します。

ただしその際、申込人と承諾する人の意思表示が合致する必要があります。

しばしば「契約書が無いから全て無効だ！」と言う方もいますが、口約束でも当事者の意思表示が合致すれば契約は有効に成立します。

それでは『意思表示が合致する瞬間』とは、具体的にどの様な行為を指すのでしょうか。

それは必ずしも声を発さずとも成立することもあります。

例えばあなたがコンビニで買い物をするときのことを想像してみてください。

カウンターで店員におにぎりを差し出し、店員はおにぎりに貼られたバーコードに機械をかざします。

この時あなたは「この鮭おにぎりを１つ購入希望という意思表示をします」とは言いませんし、店員も「この鮭おにぎりを１つ購入希望というあなたの意思表示を承諾しました」とは言いませんよね？

つまり無言であっても、おにぎりを店員に差し出す行為と店員がバーコードに機械をかざす行為が、ここでは売買契約の意思表示となっているのです。

ここでのポイント

• 契約は、申込人と承諾人の意思表示が合致すれば成立する
• 口約束でも契約は成立する
• 全ての契約が書面が必須という訳ではない

契約をする時に気を付けるポイント

「契約は口約束でも成立する」ことを前提に、契約をする際に気を付けるポイントを２点お伝えします。

意思表示の合致を確認する

当然の話しですが、契約をする際は、重要な事項をお互いによく確認しておく必要があります。

例えばあなたが愛車を自動車ディーラーに車検のため持ち込んだとします。

そこであなたは営業担当に質問します。「車検はいつあがりますか？」

営業「そうですね。今回は部品交換が多いですから１週間はみておいてください」

あなたは約束の１週間後に車を引き取り行きますが、担当者が困惑した顔で言います「車検はまだ出来上がっていませんよ。だって１週間後って言いましたよね？」

あなたは愛車で家族旅行へ出かける計画を立てていたので怒り心頭。

しかし営業担当は「契約通りだ」と納得がいかない様子。

ここでの問題点は引き渡しの『期日』です。

あなたの納期１週間は土日祝日も含みますが、営業さんの１週間は、陸運支局が休みの土日祝日と、さらにお店の店休日も含まれていません。

さらに「車検はいつあがりますか？」の『あがる』という行為は、あなたは車が引き渡しを受ける日と捉えていましたが、営業担当の『あがる』は、車が陸運局の検査ラインを通過する日。実際は、その後車検証を差し替えたり、シールを張り替えたりする必要があるので日数はまだ要します。

このように営業さんが頭の中で想定していた１週間後は、あなたが設定した日より先だったのです。

お互いにカレンダーを見ながら「引き渡し日は◯月◯日になりますがよろしいでしょうか？」と確認しておけば、この様な事態にはならなかったことでしょう。

条件提示と意思表示の違いを確認する

往々にして金額・料金の意思疎通ができていないばかりにトラブルに発展するケースはよくあります。

上記の車検の例でご説明します。

あなたが車検を預けた翌日に、営業担当から「見積もりが出ました」と電話が入ります。

見積額はなんと３５万円。話を聞けば、オイル漏れが激しかったり、タイヤも交換する必要があるとのこと。

そこであなたはこう言います「３５万円は高すぎる。それなら車検を通さない。」

この段階では、あなたは意思表示をしたに過ぎませんから契約は成立していません。

しかし営業担当は整備士に見積もり通りの内容で整備するように指示を出します。

後日、車を取りに行った際に３５万円の請求書を手渡されて仰天。「車検は通さないと言ったはずだ！」

このように、金額の交渉段階においてはお互いに折衝案を出し合うことが重要です。

「それでは今回はタイヤ交換は省いて２５万円にしましょう。しかし危険ですので後日早めに交換しておいてくださいね。よろしいですか？」と。

発言が『条件提示と意思表示』どちらに当たるのか、を双方で確認することが重要です。

まとめ

1. 契約は口約束（書面無し）でも成立する
2. 意思表示の合致を確認する
3. 条件提示と意思表示の違いを確認する

今回は、契約を交わす際に気を付けるポイントとして、上記３つのポイントを解説しました。

車検を例に説明しましたが、ビジネスの現場では『納期』『金額』『数量』『仕様』が当事者の確認不足でトラブルに発生するケースはよくあります。

つまり、契約は『書面で』締結するのが間違いないというお話でした。

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