【フリーランス・クリエイター向け】イラスト制作の業務委託契約書の注意点を解説

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ユキマサくん

大手のキャットフード会社から「会社のイメージロゴを作ってほしい」って依頼がきたよ。
業務委託契約書にサインするにあたり気を付けるポイントはあるかな?

純さん

おめでとうございます。
ロゴやデザインなど、イラスト制作の業務委託契約書では「著作権の帰属先」や「修正回数の上限」などが定められているかを確認しておきましょう。
今回は、フリーランスのクリエイターさん向けに、イラスト制作の業務委託契約書を作成・チェックするときの注意点を解説します。

一言で「イラスト」と言っても、ポスターやロゴ、webサイト全体やヘッダー画像など様々あります。
本記事では、これらのデザインを総称して「イラスト」と呼称します。

目次

イラスト制作の業務委託契約書で気を付けるポイント

イラストの仕上がりイメージを共有する

イラスト制作の業務委託契約では、クリエイターは発注者の修正要求に何回まで応じるか?が問題となることがあります。

クリエイターとしては、納品後も発注者から度々難癖を付けられ修正を求められては困りますよね。

このため契約段階で、発注者とクリエイターとの間で完成イメージをできるだけ詳細に共有しておくことや、修正回数の上限を定めておくことが望ましいです。

修正対応に関しては「クリエイターは委託者の希望に叶うまでデザインを修正し続ける必要はない」という判例があります。

この判例については下記の記事で詳しく解説しています。

請負契約であることを意識する

民法第632条
請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

イラスト制作の業務委託契約は『請負契約』です。

請負契約とは、請負人(クリエイター)が仕事を完成することを約束し、注文者が引き渡された成果品に対して報酬を支払うことを約束する契約をいいます。

ここでのポイントは「仕事で結果を出さないと」報酬が支払われないということです。

例えば、ポスター制作を依頼されて上段部分しか完成していないにもかかわらず、発注者に「半分だけ報酬をくれ」とは請求できません。当たり前と言えば当たり前ですよね。

しかし仕事の成果物を分けられる場合は、その出来高に応じた請求をすることが可能です。

例えば「ロゴを2点制作してほしい」と依頼されたが、契約の途中で2点ではなく1点に変更になった場合など。

この場合は、1点納品可能であれば、1点分の請求書をあげることは可能です。

また、請負契約は報酬の支払い時期が定められています。

【第633条】
報酬は、仕事の目的物の引渡しと同時に、支払わなければならない。ただし、物の引渡しを要しないときは、第624条第1項の規定を準用する。

したがって、イラストを納品していないにもかかわらず発注者に「先に報酬を支払ってくれ」とは要求できないのです。

このように請負契約の報酬支払のタイミングは原則、成果物の引き渡しと同じである、と認識しておきましょう。

報酬の支払い時期を定める

さきほど「請負契約の報酬支払のタイミングは原則、成果物の引き渡しと同じ」と説明しましたが、これは契約書に報酬支払いの時期が定められていない場合のルールです。

契約書では独自に支払い時期を定めることが可能ですので、「発注者はクリエイターから成果物を受領・検査後、7日以内に〇条に定める対価を支払うものとする。」などとしても構いません。

しかし、発注者が一定規模以上の資本をもつ会社で受注者がフリーランスのクリエイターである場合は、下請法が適当されます。

下請法が適当される場合、発注者はクリエイターから成果物を受領後60日以内に報酬を支払わなければなりません。

契約書では、報酬の支払い時期について定めておきましょう。

著作権の帰属先を定める

イラスト制作の業務委託契約では、クリエイターであるあなたが制作したイラスト、デザイン、ロゴの著作権を発注者側に譲渡するのか?それともクリエイターがずっと持っておくのか?が、しばしば問題となります。

著作権は原則、著作者が「著作権をあなたにあげるよ」と意思表示しない限り著作者に留保されます。(著作者の手元のまま)。

したがって、著作権を発注者に譲渡する場合は、契約書に下記の条項を盛り込む必要があります。

第○条(著作権の移転)
本著作物の著作権(著作権法第27条及び第28条に規定する権利を含む)は、第○条の対価の⽀払いにより、⼄に移転する。

なお、著作権法第27条及び第28条に規定する権利とは、例えば元のイラストデザインを修正したり、元のイラストデザインをもとにグッズを制作する様な権利を指します。

つまり、クリエイターが著作権を発注者に譲渡した後は、発注者があなたのデザインをどのように修正しようが、グッズ化しようが、あなたは著作権に関する権利を主張できなくなるのです。

著作権法27条、28条

(翻訳権、翻案権等)
第27条 著作者は、その著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利を専有する。

(二次的著作物の利用に関する原著作者の権利)
第28条 二次的著作物の原著作物の著作者は、当該二次的著作物の利用に関し、この款に規定する権利で当該二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を専有する。

著作権を譲渡したくない場合は「利用許諾」にする

「著作権を譲渡したくない!」というクリエイターさんは、著作権は自分のところに置いたままにしておき、発注者には利用範囲に制限をかけることも可能です。

この場合、契約書には「イラストの利用は、印刷物への利⽤及びウェブサイトにおける掲載に限る」などとしておきます。

もっとも、著作権を発注者に譲渡しないと決め込んでいると、クリエイターさんは仕事を受注できる機会が減る可能性もあります。イラスト制作の業務委託契約では著作権を譲渡するケースも少なくないからです。

「報酬には著作権譲渡の対価をも含む」と考えて報酬額を設定してみてはいかがでしょうか。

著作者⼈格権について定める

契約書の著作権条項には上記の「著作権法第27条及び第28条」に関するものとは別に『著作者人格権』についても定めておきましょう。

著作者人格権とは、一言でいうと「著作者のこだわりを保護する権利

例えば「俺がデザインしたイラストを風俗店に掲載しないでくれ!イメージが悪くなる!」といった、クリエイターの心の内面に潜む想いを保護する権利です。

著作者人格権はちょっと厄介で、人に譲渡することができません。いつでもクリエイターがその権利を行使することができます。

ということは、発注者はクリエイターから常に著作者人格権を行使されるリスクが付きまといます。

そこで契約書には「クリエイターさん、イラストを渡した後は自分の著作者人格権を行使しないと約束してよね」と定めておくとトラブルを抑制できます。

第〇条(著作権の帰属)
1 乙は、甲に対し、成果物の著作者人格権を行使しないものとする。

著作権と著作者人格権については下記の記事で詳しく解説しています。

保証条項について定める

発注者が、クリエイターが制作したイラストを用いてwebサイトを作りを一般公開したところ、このイラストが第三者の著作権を侵害していた!こんなトラブルも起こり得ます。

この場合、発注者は第三者から損害賠償等の責任追及をされます。

同時に発注者の怒りの矛先は当然クリエイターであるあなたに向けられることでしょう。

このようなトラブルを防止するためには契約書で、「クリエイターは自身が制作するイラストが第三者の著作者等を侵害していないこと」を保証する条項を入れておくと良いです。

第○条(保証)
甲は、⼄に対し、本著作物が第三者の著作権、プライバシー権、名誉権、パブリシティ権その他いかなる権利をも侵害しないことを保証する。

もっとも契約書に入れ込んだからと言って、第三者の著作者等を侵害していないことにはなりません。クリエイター自身が第三者の著作者等を侵害しないよう十分・配慮しなければなりません。

まとめ

今回は、フリーランスのクリエイターさん向けに、イラスト制作の業務委託契約書を作成・チェックするときの注意点について解説しました。

今回解説した点については必ず抑えておきましょう。

  • イラストの仕上がりイメージを共有する
  • 請負契約であることを意識する
  • 報酬の支払い時期を定める
  • 著作権の帰属先を定める
  • 著作権を譲渡したくない場合は「利用許諾」にする
  • 著作者⼈格権について定める
  • 保証条項について定める

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