販売代理店契約書の作成で気を付けるポイント。特約店契約との違いを解説

販売代理店契約とは

販売代理店契約とは

販売代理店契約とは、メーカーが他社に自社を代理させてユーザーと売買契約を締結させる形態の契約です。

代理店契約のメーカー側のメリットは、販売に関する業務をすべて代理店に丸投げできること。

メーカーは商品の販売を代理店に一任して、自社では企画開発や製造に専念することができます。

また日本全国各地に販売代理店を増やすことができれば、自社で営業所を開設して人員を雇い教育する手間が省けます。

販売代理店のメリットは、下記の様な点が挙げられます。

1. 在庫リスクの軽減：代理店は商品を預かる形なので、売れ残りによる在庫リスクがない
2. 販売開始の迅速化：完成品を販売するだけなので、すぐに販売活動を開始できる
3. 売上の安定：営業力や商品力により左右されるが、契約期間中は安定した売上を見込める
4. ブランド力の活用：メーカーのブランド力を活用して、代理店の知名度や信頼性を高めることができる
5. 販売ノウハウの習得：メーカー主催の研修を通じて、商品知識や営業力を身に付けられる

なお販売代理店契約の最大の特徴は、代理店は単なる代理人に過ぎないという点です。

代理店は、メーカーに代わって製品をユーザーに販売することでメーカーから販売手数料を徴収します。

特約店契約との違い

特約店との主な違いは、契約に基づく権利と義務の範囲です。

特約店契約は、特定のメーカーや企業が特別な契約を結ぶ契約です。

メーカーと特約店契約を結んだ企業は、メーカーの商品やサービスを独占的に取り扱えるようになります。

また商品の販売だけでなく、メンテナンスや保証などのアフターサービスも提供できるようになりますので、収益の拡大を狙うことができます。

代理店契約書で気を付けるポイント

（メーカー）ユキマサ産業と（特約店）もふもふ商会は、次のとおり販売代理店契約を締結する

契約の目的を明確にする

契約の目的とは、何のためにこの契約書を交わすのか？ということ。

契約の目的を明確にする理由は、契約を解除したり、契約不適合責任に基づく請求をしたりする場合に契約の目的が重要視されるからです。逆にいうと、契約の目的が不明瞭であると場合によっては相手方損賠賠償請求できないこともあると言えます。

契約書には「メーカーユキマサ産業が『空気清浄機ウルトラキャット（仮称）』の販路拡大のために代理店もふもふ商会に販売権を付与する」といった目的を明示します。

販売代理店の内容を明確にする

販売代理店が、メーカーからどのような条件で製品・商品を代理販売するのか、その詳細を明示します。

• 取り扱い製品
• 販売地域
• 単価
• 発注方法
• 数量
• 引渡し期日
• 引渡し場所
• 販売手数料
• 支払方法

なお、本条項においては販売地域が重要な項目となります。

メーカーは販売代理店に対して、販売可能なエリアを指定します。

また販売代理店に対して、一社独占的代理店とする場合はその旨を明示します。

販売代理店の権限を明確にする

甲が乙に付与する販売代理店としての権限は以下の各号に記載された行為に限られる

メーカーが代理店に付与する権限を明示しましょう。

• ユーザーとの売買契約の締結
• 本件製品の納入
• 本件製品の修理受付業務
• 売買代金の請求及び受領、等

メーカーは、販売代理店に対して、自由競争を過度に抑えるような規程を設けると『独占禁止法』に抵触する可能性があります。

販売手数料について定める

販売手数料は、販売代理店にとっては最も気になるところです。

計算方法については、売上高ベースで計算するのか、販売数で計算するのか、最低手数料＋最低販売数を超えた数ベースで計算するのか、などを取り決め合意しましょう。

また、契約更新時に販売手数料を見直す場合は、その旨を契約書に明記おきます。

その他、下記の項目についても定めておきましょう。

• 販売日の締め日
• 手数料の送金日

代金の受領方法について定める

販売代理店とユーザーが売買契約を締結後、その代金の授受の方法について定めます。

代理店がメーカーを代理して受領するのか、それともユーザーがメーカーに直接支払うのか、について明示します。

代理店が代理受領する場合は、毎月何日に占めて、翌月何日までにメーカーに送金する、など振込み期日についても明確にしておきましょう。

納品・発送について定める

ユーザーが購入した製品を、どのような方法で納品・発送するのかについて定めます。

一度代理店に搬入して、代理店がユーザーへ納品するのか、それともメーカー直送にするのか。

代理店が代理納品する場合は、代理店が製品を受領した後に破損したケースを想定して、その対応方法についても合わせて取り決めておきましょう。

まとめ

今回は、販売代理店契約と特約店契約の違い、そして販売代理店契約書を作成・チェックするときの注意点を解説しました。

• 契約の目的を明確にする
• 販売代理店の内容を明確にする
• 販売代理店の権限を明確にする
• 販売手数料について定める
• 代金の受領方法について定める
• 納品・発送について定める

今回解説した内容をは特に重要ですから、しっかりと理解したうえで、販売代理店契約書を作成・チェックしましょう。

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