第○条 契約期間
本契約の有効期間は、○年間とする。
ただし、契約期間の満了○ヶ月前までに甲又は乙のいずれからも契約解除の申し出がない場合は、同一の期間更新されるものとする。
クライアントにシステムを無事に納品できたんだけど、嬉しいことにその後の保守契約も依頼してくれるんだって。
業務委託契約書で『契約期間』は何年にしておけばいいのかな?
これと言った正解はありませんが、できるだけ長く設定してほいた方が安心ですよ。
今回は、業務委託契約書の契約期間について気を付けるポイントを解説します。
契約期間を定めると中途解約ができない
今回解説する内容は、業務委託契約書の中でも「コンサルティング契約」や「保守・メンテナンス契約」、「取引基本契約」など、継続的取引きを目的とした契約類型を想定しています。
業務委託契約書に限らず、多くの契約類型では原則、中途解約を認めてないものがほとんどです。
理由は、予期せぬ時期に解約の申し出を受けることで過剰在庫を抱えてしまったり、次の取引先を探すまでに時間を要したりするなどのトラブルを防止するためです。
そのため、契約を解除・解約する場合は期間満了の数ヶ月前から相手方に申し出ることを条件(任意解約規定)とし、その旨を契約書で定めています。
『中途解約による違約金の定めを』規定していた場合は、規定の賠償金を相手方に支払うことで解約が可能とするケースもありますが、企業に比べて資本力の乏しいフリーランスや個人事業主にとって違約金の支払いは大きな負担になるでしょう。
そのため、業務委託契約書において「契約期間」は、委託者・受託者、双方にとっても非常に重要な条項となります。
契約期間で気を付けるポイント
第○条 契約期間
本契約の有効期間は、○年間とする。
ただし、契約期間の満了○ヶ月前までに甲又は乙のいずれからも相手方に対して本契約を解除す旨の書面による申し出がない場合は、同一の条件にて○年間更新されるものとし、以後も同様とする。
契約解除の予告期間の有無を明記する
契約解除の予告期間の有無は最も注視すべきポイントです。
例えばあなたが、大口のクライアントから毎月継続的に仕事を請け負っているとします。
大口は毎月の実入りが大きい反面、突然の契約解除は収入源に繋がり大きな痛手となります。
お勧めは、契約期間満了前の解除予告期間をできるだけ長く設定すること。
期間を長めに設定しておけば、万が一大口のクライアントから契約を切られるような事態になっても、余裕をもって次の取引先を見つけることが可能になります。
しかし、契約期間を長く設定できた場合であっても、自己都合により契約を解除しなければならない自由が生じた場合は違約金を支払う義務が生じることもあるため、この点も考慮して慎重に契約期間を設定する必要があります。
解除通知は書面でおこなう
発注者・受注者、双方にとっても契約期間の通知は必ず書面でおこなうことを明記しておきます。
この場合、契約者双方が意義を唱えない場合に契約が更新されることを明らかにするため、上記例の様に、甲又は乙のいずれからも相手方に対して本契約を解除す旨の書面による申し出がない場合は、と記載しておきます。
自動更新の有無を明記する
契約者双方が意義を唱えない場合に契約が更新されることと同時に、契約が自動更新される旨を定める場合はその点も明記します。
上記の例では、同一の条件にて、と定めていますが仮に契約更新時に異なる条件を定める場合は、新規で業務委託契約書を作成し締結し直すか、別途合意書や覚書の書面で修正対応しましょう。
契約更新後の期間を明記する
コンサルティング契約などの継続的取引きを目的とした業務委託契約書では、契約更新後の期間は当初定めた期間よりも短くすることが一般的となっています。
理由は、当初の契約期間内で発注者(委託者)側の目的が達成されるケースが多いから。
とは言え、フリーランス・個人事業主の立場としてはクライアント企業とはできるだけ長い期間、契約を継続したいですよね。
そこで、契約更新後の期間も当初定めた期間と同一のものとしても問題ありません。
この点も相手方企業との交渉になりますが、自分と長く取引きをしてもらえるメリットを訴求して、永続的に仕事を請け負えるように努めましょう。
まとめ
今回は、業務委託契約書の条項『契約期間』について、フリーランス・個人事業主の立場から気を付けるポイントについて解説してきました。
- 契約解除の予告期間を(できるだけ長めに)設定・明記する(自己都合の解除による不利益も検討)
- 契約解除の通知は書面でおこなう
- 自動更新の有無を明記する
- 契約更新後の期間を(できるだけ長めに)設定・明記する(自己都合の解除による不利益も検討)
コンサルティング契約や、保守・メンテナンス契約等、継続的な業務委託契約は毎月の安定収入につながります。
そのため、一度契約が取れたらできるだけ長く取引きを継続できるようにしたいものです。
永続的な取引きを実現するためにも、契約書面は慎重に作成・チェックし、法的に不安な条項があれば弁護士や行政書士などの専門家に相談してみるのもよいでしょう。
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