業務委託契約をした場合、契約期間の途中であっても僕の都合で契約を解約できるのかな?
『任意解約条項』を定めておけば違約金を支払うことなく解約できますよ。
今回は任意解約条項の記載方法についてクリエイターの立場から解説します。
任意解約とは
第○条(解約)
甲又は乙は、相当な期間をおいて相手方に書面で通知することにより、本契約を解約することができる。
コンサルティング契約や保守・メンテナンス契約、取引基本契約などの契約は、取引期間が長期に渡って継続しますが、契約期間を定めた場合は、原則契約期間中に解約をすることができません。
とは言え契約期間の途中で、現在よりも良い条件の仕入れ先が見つかった場合や、大口の案件をくれる取引先が現れたことで現在の契約関係を解消しなければならないなど、自己都合による解約を申し出るケースは往々にしてあります。
しかし民法では、債務不履行等の一定の事由が生じた場合の解除権(法定解除権)が定められているだけなので、民法上の解除事由によらずに契約を解消ためには、あらかじめ契約当事者間で特約を設けておく必要があるのです。(約定解除権の留保)
この規定が『任意解約条項』
業務委託契約書で任意解約条項が必要な理由
業務委託契約書を締結する場合は、任意解約条項の設置は必須です。
自己の一方的な都合で契約の相手方に解約を申し出たことにより、相手方が損賠を被った場合は、その損賠を賠償する責任を負わなければなりません。
また契約内容によっては、違約金(一般的には、契約期間の残月数✕月額契約料)の支払いが必要になる場合もあります。フリーで働くクリエイターにとって、このような突発的な支払いは大きな負担です。
しかし、この様な状況であっても任意解約条項を設けておけば、契約期間の途中であっても違約金を支払うことなく解約が可能になるのです。
この特約を契約書に落とし込む場合は以下の文章になります。
契約期間の中途であっても、○ヶ月前までに書面をもって相手方に通知をすれば、違約金を支払うことなく解約することができる。
また契約の相手方の財務状況が怪しい状況であっても、明確な強制解除事由をこちらが証明できない場合は、強制解除を申し出ることができません。この解約の申し出は『自己都合による解約』とみなされてしまいます。
しかしこの場合であっても、「○ヶ月前までに相手方に通知すれば解約できる」などの任意解約条項を設けておけば、円滑に解約を申し出ることが可能です。
任意解約条項の記載方法
甲又は乙は、相手方に対し解約を申し出る場合は、解約を申し出る○ヶ月前までに書面を相手方に通知することにより本契約を解約することができる。
2 ただし前項による解約を申し出る場合は、解約を相当とする事由がなければこれを認めない。
解約の予告期間を設ける
任意解約規定を定める場合は、必ず予告期間を設けなければなりません。
理由は、任意解約規定を定めたからと言って相手方に「解約の意思表示をするだけで」解約が成立してしまうとなると、契約の相手方が不足の損害を被ることもあるからです。
例えばあなたが映像制作を請負うクリエイターで、契約目的を達成するために新しく機材を揃えたとします。ところが、相手方から急に解約の申し出があった場合はせっかく揃えた機材が不要になってしまいます。
したがって、取引期間が長期に渡って継続する業務委託契約で『任意解約規定』を定める場合は、予告期間を設けておく必要があるのです。
予告期間の長さについては、自己の解約権が長期に渡って拘束されないように設定します。
例えば「解約を申し出る1年前までに相手方に通知しなければならない」とすると、長期間に渡り解約可能な期間を拘束されるので、せっかく設ける任意解約条項が実質的に無意味なものになってしまいます。
そこで、相手方からの解約の申出により自己が損害を被らない現実的な期間を設定しておけばよいでしょう。
解約を申し出るには相当事由が必要
コンサルティング契約や保守・メンテナンス契約、取引基本契約等の長期契約は、企業から仕事を請負うフリーランスにとっては安定収入に繋がりますので、できるだけ長期に渡って契約を継続してほしいものですよね。
しかし任意解約規定を設けると、強制解除と異なり、どのような事由でも解約が可能になります。
この様に自己都合による解約が可能となるメリットを享受できる一方で、相手方からの解約の申し出を認めることにもなるので、この点はデメリットにもなります。
そこで、契約の相手方とできるだけ長期に渡って契約を継続することを望むのであれば、例文2項の様に解約には相当事由が必要である旨を付加しておくと良いです。
さらにこの場合、相当事由をより具体的に特定しておけば、拘束力が増しますのでより有効です。
まとめ
今回は『任意解約規定』の記載方法についてフリーで働くクリエイターの目線で解説しました。
任意解約規定を設けておけば、解除事由に該当しない場合であっても契約関係を解消することができるようになります。
コンサルティング契約や保守・メンテナンス契約、取引基本契約のように、長期に渡る業務委託契約書を締結する場合は、必ず任意解約規定を設けておきましょう。
特に企業よりも弱い立場に立たされがちなフリーランスの方は、突発的な契約解除を防止する意味でも任意解約規定は有効です。
もしあなたが業務委託契約書の作成やチェックに自信がない場合は、弁護士や行政書士に相談することをお勧めします。
「法令に抵触していないか」といった点はもちろん、あなたにとって有利な契約書を作成してくれますので、長期的には報酬以上のメリットを享受できることもあります。
業務委託契約書の作成はお任せください
弊所は業務委託契約書(製造委託契約・請負契約)の作成やリーガルチェックを得意としております。
- 業務委託契約書を作りたいが何から手を付けたらいいのか分からない
- 自社の仕組みに合わせて業務委託契約書を作成してほしい
- 自社に有利なように業務委託契約書を作成してほしい
- 相手方から業務委託契約書を提示されたが、不利な条件が書かれていないかチェックしてほしい
- AIで契約書を作ったが抜けや漏れがないか不安。リーガルチェックだけしてほしい
この様なことでお悩みクリエイターや中小事業主様は、今すぐお問い合わせください。
LINEで簡単!全国どこからでも対応致します。
北海道, 札幌,青森, 岩手, 秋田, 宮城, 山形,福島, 東京(東京都23区,千代田区,中央区,港区,世田谷区,大田区,目黒区,品川区,渋谷区,杉並区,中野区,練馬区,新宿区,江東区,墨田区,葛飾区,江戸川区,台東区,文京区,荒川区,足立区,北区,豊島区,板橋区), 神奈川, 横浜,埼玉県, 千葉, 茨城, 群馬, 栃木, 愛知, 名古屋,静岡, 三重, 岐阜, 新潟, 長野, 山梨, 石川, 富山, 福井, 大阪, 京都, 奈良, 兵庫, ,神戸,滋賀, 和歌山, 岡山, 広島, 鳥取, 山口, 島根, 愛媛, 徳島, 高知, 香川, 福岡, 佐賀, 長崎, 大分, 熊本, 宮崎, 鹿児島, 沖縄
商取引に関する契約書
- 動産売買契約書
- 土地売買契約書
- 土地建物売買契約書
- 継続的売買契約書
- フランチャイズ契約書
- 特約店契約書
- OEM契約書
- 販売代理店契約書
- 秘密保持契約書(NDA)
- 事業譲渡契約書
- 企業主導型保育従業員枠共同利用契約書
- M&Aアドバイザリー契約書
- 継続的商品売買契約書
- スポンサー契約書
- 営業代行委託契約書
- デジタルサイネージ広告掲出契約書(約款)
賃借に関する契約書
- 建物使用貸借契約書
- 建物賃貸借契約書
- 定期建物賃貸借契約書
- 定期借地権設定契約書
- 事業用定期建物賃貸借契約書
- 駐車場賃借権契約書
- 社宅借り上げ契約書
賃金と担保に関する契約書
- 債権譲渡契約書
- 金銭消費貸借契約書
- 抵当権設定契約書
- 代物弁済契約書
- 準消費貸借契約書
- 集合動産譲渡担保契約書
- 質権設定契約書
請負・業務委託契約書
- 業務委託契約書
- 建設工事請負契約書
- 不動産管理委託契約書
- コンサルタント契約書
- システム開発契約書
- 営業委託契約書
- ヘアーサロン美容師業務委託契約書
- ヘッドスパ・セラピスト業務委託契約書
- ネイリスト業務委託契約書
- アイリスト業務委託契約書
- ヘアサロン・美容室面貸し契約書
- ヨガ・ダンス教室業務委託契約書
- 給食提供業務委託契約書
- 訪問歯科医療委託契約書
- 動画制作業務委託契約書
- 声優・ナレーター動画出演委託契約書
- ライター業務委託契約書
- 脚本(シナリオ)執筆委託契約書
- SNS運用代行契約書
- 動画・舞台出演契約書
- コールセンター業務委託契約書
- システム・機械保守メンテナンス契約書
- セミナー・講演会・出演契約書
- イラスト制作業務委託契約書
- 写真家・フォトグラファー業務委託契約書
- ダンス・舞踊創作の委託契約書
- デリヘル店業務委託契約書
- マッサージ、リラクゼーションサロン業務委託契約書
- レンタル彼女キャスト業務委託契約書
- オンライン事務(バックオフィス)代行サービス業務委託契約書
- 社員研修講師委託契約書
- 研修の外部講師との業務委託契約書
- 音楽教室の講師業務委託契約書
- 料理教室の講師業務委託契約書
- アートメイク看護師業務委託契約書
- 医療ハイフ看護師業務委託契約書
- ヨガ・ピラティスインストラクター業務委託契約書
- 住宅リフォーム会社と外注の職人との業務委託契約書
労働に関する契約書
- 雇用契約書
- 労働者派遣基本契約書
- 入社・退社誓約書
- 身元保証契約書
- 出向契約書
- 専属マネジメント契約書
著作権に関する契約書
- 著作権譲渡契約書
- 著作権利用許諾契約書
家族・近隣に関する契約書
- 贈与契約書
- 死因贈与契約書
- 境界確定契約書
- 遺産分割協議書
- 夫婦財産契約書
- 任意後見契約公正証書
- 通行地役権設定契約書