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ライセンシーと結ぶ「キャラクター商品化権許諾契約書」で気をつけるポイントを教えてよ。



分かりました。
それでは今回は、ライセンサー向けに「キャラクター商品化権許諾契約書」で特に気をつけるポイントについて解説します。
キャラクター商品化権のライセンス契約を検討されている企業の方々へ向けて、契約書作成時の重要ポイントと注意点を詳しく解説します。
特に初めてキャラクターライセンスを取得する企業の視点から、契約書の各条項の意味と影響、交渉のポイントについて、実務的な観点から解説していきます。
- キャラクター商品化権契約で最低限押さえるべき条項は
- 契約書の各条項が自社のビジネスに与える影響
- 契約交渉時に確認・相談すべきポイント
キャラクター商品化権許諾契約の基本
キャラクター商品化権許諾契約は、キャラクターホルダー(ライセンサー)から商品化権の使用許諾を受ける企業(ライセンシー)との間で締結される契約です。
この契約により、ライセンシーは指定された商品カテゴリーにおいて、当該キャラクターを使用した商品の製造・販売が可能となります。
第○条(定義)
本契約において、次の各号に掲げる用語は、それぞれ当該各号に定める意味を有するものとする。
(1) 「本キャラクター」とは、別紙1に記載されたキャラクターをいう。
(2) 「商品化権」とは、本キャラクターを商品等に使用する権利をいう。
(3) 「許諾商品」とは、本契約に基づき商品化権の使用を許諾された商品をいう。
キャラクターの特定
第◯条(使用許諾の対象)
ライセンサーは、ライセンシーに対し、本キャラクターを以下のとおり使用することを許諾する。
(1) 対象キャラクター:別紙1記載のキャラクター
① キャラクター本体の使用
② 関連ロゴ・マークの使用
③ 付随する意匠・デザインの使用
(2) 使用可能なデザインバリエーション
① アニメーション版デザイン
② 公式イラストデザイン
③ 指定ポーズデザイン(別紙参照)
- 使用可能なキャラクターの正確な範囲
- 関連するロゴやデザイン要素の使用可否
- アニメーション版・コミック版等の違いの有無
【解説】
キャラクターの特定は契約の根幹を成す重要な要素です。
特に人気作品の場合、同じキャラクターでもアニメ版とコミック版で権利者が異なるケースや、デザインが微妙に異なるケースがあります。
また、キャラクター単体の使用だけでなく、作品ロゴや付随する意匠の使用可否も明確にしておく必要があります。
実務上、別紙でキャラクター一覧や使用可能なデザイン素材を特定するケースが一般的です。
商品カテゴリーの範囲
第◯条(許諾商品)
1.本契約における許諾商品は、以下のとおりとする。
(1) アパレル製品
①Tシャツ
②パーカー
③帽子
(2)雑貨製品
①文具
②バッグ
③タオル
2.前項に定める以外の商品カテゴリーについて商品化を希望する場合、ライセンシーは事前にライセンサーの書面による承諾を得なければならない。
- 許諾される商品カテゴリーの具体的な列挙
- 除外されるカテゴリーの確認
- 将来の拡張可能性
【解説】
商品カテゴリーは可能な限り具体的に定義する必要があります。
例えば「アパレル」という大きなカテゴリーでは、Tシャツのみが許諾対象なのか、アクセサリーや靴なども含むのかが不明確です。
また、他社との競合を避ける目的で特定のカテゴリーが除外されているケースも多いため、事前確認が重要です。
将来的な商品展開の可能性がある場合は、カテゴリー追加の手続きや条件についても確認しておくことをお勧めします。
使用許諾地域
第◯条(許諾地域)
1.本契約における許諾商品の製造及び販売地域は、日本国内に限るものとする。
2.インターネットを利用した通信販売については、以下の条件に従うものとする。
(1)販売サイトの使用言語は日本語のみとすること
(2)配送先を日本国内に限定すること
(3)決済通貨を日本円のみとすること
- 販売可能な地域の範囲
- ECでの販売制限の有無
- 地域による使用条件の違い
【解説】
グローバル展開を視野に入れている場合、特に重要な条項です。
国内限定の契約が一般的ですが、ECの普及により、海外からの注文への対応可否が実務上の課題となっています。
また、地域によって商標権の状況が異なる場合もあるため、展開予定地域での権利関係の確認も必要です。
ECサイトでの販売制限をかける場合、その具体的な方法(IPアドレスによる制限など)についても協議しておくことが望ましいです。
重要条項と確認ポイント
使用許諾条項
第○条(使用許諾)
- ライセンサーは、ライセンシーに対し、本契約の条件に従い、日本国内において、許諾商品の製造及び販売を目的として本キャラクターを使用する非独占的権利を許諾する。
- ライセンシーは、事前にライセンサーの書面による承諾を得ない限り、第三者に対して本契約に基づく権利義務を譲渡し、又は再使用許諾することができない。
使用許諾に関する確認ポイント
許諾の範囲
- 非独占か独占か
- 使用目的の制限
- 地理的範囲
【解説】
使用許諾の範囲は、ビジネスの自由度に直接影響を与える重要な要素です。
非独占契約が一般的ですが、特定のカテゴリーや地域で独占契約を結ぶケースもあります。
独占契約の場合、最低保証金が高額になる傾向がありますが、競合他社との差別化が図れるメリットがあります。
使用目的については、商品製造・販売以外に、広告宣伝やSNSでの情報発信などの付随的な使用権限も明確にしておく必要があります。
再許諾の制限
- 製造委託の可否
- グループ会社での使用可否
- 販売代理店の使用権限
【解説】
再許諾の制限は、特に製造を外部委託する場合に重要です。
一般的に、製造委託先への限定的な使用許諾は認められますが、その範囲や手続きを明確にしておく必要があります。
また、グループ会社での使用や販売代理店でのプロモーション活動なども、広い意味での再許諾に該当する可能性があるため、事前に確認が必要です。
海外製造の場合は特に、製造委託先での権利管理体制についても説明を求められるケースがあります。
ロイヤリティに関する条項の詳細
第○条(ロイヤリティ)
- ライセンシーは、許諾商品の売上高に応じて、以下の計算式により算出されるロイヤリティをライセンサーに支払うものとする。
ロイヤリティ=許諾商品の卸売価格(消費税を除く)×○○% - ライセンシーは、各四半期終了後30日以内に、当該四半期における許諾商品の売上実績報告書をライセンサーに提出し、ライセンサーからの請求書受領後30日以内にロイヤリティを支払うものとする。
料率の設定方式
- 卸売価格方式:最も一般的な方式
- 小売価格方式:マージン管理が重要
- 個数単価方式:シンプルだが価格変動のリスクあり
【解説】
料率の設定方式は、収益性に直結する重要な要素です。
卸売価格方式は、価格設定の自由度が高い反面、過度な値引きによるロイヤリティ減少を防ぐため、最低卸売価格が設定されることがあります。
小売価格方式は、特に量販店向け商品で採用されることがありますが、販売チャネルごとの価格設定の違いに注意が必要です。
個数単価方式は、特に低価格商品や景品などで採用されることがあり、計算が簡単なメリットがありますが、原材料費高騰時のリスクを考慮する必要があります。
最低保証金(ミニマムギャランティ)
- 金額の妥当性(売上予測との整合性)
【解説】
最低保証金は、ライセンサーにとって最低限の収益を確保する手段であると同時に、ライセンシーの事業計画の実現可能性を試す指標としても機能します。
売上報告と監査
- 報告内容と頻度
- 監査への対応方法
- 記録保持の義務
【解説】
売上報告は、ロイヤリティ計算の基礎となる重要な業務です。
報告内容には通常、商品アイテムごとの販売数量、売上高、返品数、在庫数などが含まれます。多くの場合、四半期ごとの報告が求められますが、商品特性や取引規模によって月次報告が要求されることもあります。
また、ライセンサーによる監査権限を設定する場合は、その際の対応方法(立会人、閲覧可能な書類の範囲、実施時期の調整など)についても、あらかじめ明確にしておくことが望ましいです。
品質管理条項のポイント
第○条(品質管理)
- ライセンシーは、許諾商品の企画、デザイン、仕様、販売価格等について、事前にライセンサーの承認を得なければならない。
- ライセンシーは、許諾商品の見本品をライセンサーに提出し、その承認を得た後でなければ、許諾商品の製造を開始することができない。
- ライセンサーは、許諾商品の品質が承認内容と異なる場合、又は本キャラクターのイメージを損なうおそれがある場合、許諾商品の修正又は製造中止を求めることができる。
承認プロセス
- 企画段階での事前相談
- サンプル提出のタイミング
- 修正要請への対応手順
【解説】
承認プロセスは商品開発スケジュールに大きく影響するため、計画的な対応が必要です。
特に季節商品や特定イベントに合わせた商品の場合、承認に要する期間を考慮した開発スケジュールを立てることが重要です。
企画段階での事前相談を行うことで、本サンプル製作前の方向性修正が可能となり、開発コストの削減にもつながります。
また、修正要請への対応手順をあらかじめ定めておくことで、スムーズな商品化が可能となります。
品質基準
- 素材・安全性の基準
- デザイン・色使いの制限
- パッケージデザインの規定
【解説】
品質基準は、商品の安全性とブランドイメージの保護の両面で重要です。
特に子供向け商品の場合、安全性に関する法規制への適合が必須となります。
また、キャラクターの色指定(指定パントン等)や使用可能なポーズの制限、他のキャラクターとの組み合わせ規定なども一般的です。
パッケージデザインについては、権利表記の方法や、作品ロゴの使用規定なども確認が必要です。
製造管理
- 製造委託先の管理
- 品質検査の方法
- 不良品発生時の対応
【解説】
製造管理は、特に海外製造の場合に重要度が増します。
製造委託先の選定や管理方法、現地での品質検査体制、不良品が発生した際の対応手順など、具体的な管理方法を定めておく必要があります。
また、製造過程での仕様変更や材料変更が必要になった場合の承認手続きについても、あらかじめ明確にしておくことが望ましいです
契約期間と更新に関する注意点
第○条(契約期間)
- 本契約の有効期間は、○○年○○月○○日から○○年○○月○○日までとする。
- 契約期間満了の3ヶ月前までに、いずれの当事者からも書面による契約終了の意思表示がない場合、本契約は同一条件でさらに1年間更新されるものとし、以後も同様とする。
- 前項の規定にかかわらず、契約更新時においてロイヤリティ料率その他の契約条件について、両当事者で協議のうえ、変更することができる。
期間設定
- 商品開発・販売サイクルとの整合性
- 季節商品の場合の考慮事項
- 最低期間の確保
【解説】
契約期間は、商品開発から販売終了までのサイクルを考慮して設定する必要があります。
特に、金型製作が必要な商品や、季節商品の場合は、開発投資の回収期間を確保できる契約期間が重要です。
一般的な契約期間は1年から2年ですが、商品特性や投資規模によっては、より長期の契約期間を交渉することも検討しましょう。
更新条件
- 自動更新の有無
- 更新時の条件変更可能性
- 更新拒否の条件
【解説】
更新条件は、事業の継続性に関わる重要な要素です。
自動更新条項がある場合でも、更新時に条件変更の協議が可能かどうかを確認しましょう。
特に、最低保証金の金額や、ロイヤリティ料率については、実績を踏まえた見直しの可能性を確保しておくことが望ましいです。
また、更新拒否の条件(売上未達の場合など)についても、あらかじめ明確にしておく必要があります。
中途解約
- 解約通知期間
- 違約金の有無
- 在庫処理の方法
【解説】
中途解約の条項は、事業環境の変化に対応するための重要な選択肢です。
解約通知期間は、3ヶ月から6ヶ月前程度が一般的ですが、在庫処理に必要な期間を考慮して設定する必要があります。
違約金が設定する場合は、その算定方法(未払最低保証金の取り扱いなど)について明確にしておきましょう。
また、解約時の在庫処理方法(販売可能期間の設定、在庫買取りの有無など)についても、具体的に定めておく必要があります。
契約終了時の処理
第○条(契約終了時の処理)
- 本契約が終了した場合、ライセンシーは直ちに許諾商品の製造を中止し、在庫商品の販売可能期間について、ライセンサーと協議するものとする。
- ライセンシーは、販売可能期間経過後、残存する在庫商品を廃棄し、その証明書をライセンサーに提出するものとする。
- ライセンシーは、契約終了後も、第○条(秘密保持)及び第○条(個人情報の取扱い)の義務を負うものとする。
在庫処理
- 販売可能期間の設定
- 在庫買取りの可能性
- 廃棄コストの負担
【解説】
契約終了時の在庫処理は、収益性に大きく影響する要素です。
契約終了後の販売可能期間は個々の事情により異なりますが、商品の特性や在庫量によって個別に協議される場合もあります。
在庫買取りの可能性については、必ず契約締結時に規定しておきましょう。
廃棄が必要な場合は、その費用負担や証明方法についても具体的に定めておく必要があります。
知的財産の取り扱い
- デザインデータの返却
- 商品型の処分
- 販促物の取り扱い
【解説】
知的財産の取り扱いは、契約終了後のリスク管理の観点で重要です。
デザインデータや商品の設計図面などの返却または廃棄、金型や版下などの製造設備の処分方法、カタログやPOPなどの販促物の取り扱いについて、具体的な手順を定める必要があります。
特に、デジタルデータの完全削除の証明方法については、あらかじめ合意しておくことが望ましいです。
まとめ
今回はライセンサーに向けて、キャラクター商品化許諾契約書の重要ポイントについて解説しました。
本記事で解説したポイントは特に重要な条項ですので、必ず確認しておきましょう。
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