オンライン限定の事務(バックオフィス)代行サービスを請負う会社を立ち上げようと思うんだ。
凄いですね。
ところで業務委託契約書はもう作ったんですか?
それが今まさに作成途中なんだけど、なんて書けばいいのか分からなくて作業が中断してるの。
事務代行サービスの業務委託契約書はひな型を探してもなかなか見つからないですからね。
それでは本日は、事務代行サービスの業務委託契約書の書き方と注意点を解説します。
オンライン事務代行サービスの業務委託契約書とは
オンライン事務代行サービスとは、インターネットを通じて専門の業者に自社の事務作業を外注化するサービスです。
オンライン事務代行業者は、経理、総務、秘書、人事・採用サポート、営業事務、Web運用など様々な業務をフルリモートでサポートします。
代行業者は企業に限らず、近年では働き方の多様化によりフリーランスが完全一人で企業から仕事を請負うスタイルも増えています。
企業は事務代行サービスに特定の事務作業を外注化することで、本業に集中することができ、かつ効率的に事務作業を処理することができます。
そしてこのとき、企業と事務代行業者が契約を結ぶ際に用いる契約書が『オンライン事務業務委託契約書』です。
※契約書の名称は、「バックオフィス代行サービス委託契約書」「オンライン事務代行委託契約書」など様々な呼び名があります。
オンライン事務代行サービス契約書で気を付けるポイント
ここからは、オンライン事務代行サービス事業者向けに、業務委託契約書の作り方と契約書の内容で気を付けるポイントを解説します。
「請負契約」と「準委任契約」の違いを理解する
オンライン事務代行業者が契約書を作成する際に、最初に理解しておかなければならない点が、「請負契約」と「準委任契約」の違いです。
なぜ両者の違いを理解しておかなければならないのか?
それは、民法上それぞれ別の契約類型なので、負うべき責任の度合いや、契約を解除する際の決め事が微妙に異なるからです。
請負契約とは、請負人(事務代行サービス業者)が、クライアントに特定の仕事を完成することを約束し、クライアントが引き渡された成果物に対して報酬を支払うことを約束する契約です。
例えば、事務代行サービス業者がクライアントから数字が羅列した資料だけを渡され、それをもとにグラフを用いた資料を作成する行為は請負契約に該当します。
そして請負契約は「原則、完成品を納品しないと」報酬が支払われません。
次に準委任契約とは、請負人(事務代行サービス業者)が、クライアントから仕事を頼まれ、頼まれた仕事をこなしていくイメージです。
例えば、転送電話に出る、請求書・領収書を整理・発送する、採用面接を代行する、など。
これら業務の特徴は、請負契約と異なり完成品が存在しないという点です。
その代わりに事務代行業者は善管注意義務を負います。
善管注意義務とは、依頼された仕事をこなすために全力で励むイメージです。
例えばお医者さんが患者の命を救うために手術をするとき、手術の成功(仕事の完成)を約束できませんが、全力でオペに挑みますよね?これが善管注意義務。
つまり医療行為は準委任契約にあたります。
オンライン事務代行サービスを請負う業者は、トラブル防止の観点から、これら2つの契約類型の違いについてしっかりと理解しておく必要があります。
請負契約 | 委任・準委任契約 | |
---|---|---|
契約の目的 | 受託者が委託された仕事を完成させる | 受託者が委託された事務を処理する |
受託者の義務 | 受託者は仕事を完成する義務を負う | 受託者は善管注意義務を負う |
報酬請求権 | 受託者は仕事を完成した後でなければ報酬を請求できない | 受託者は委任事務を履行した後でなければ報酬を請求できない |
契約解除権 | 委託者は、原則仕事が完成するまではいつでも損害を賠償して契約を解除できる。 | 委託者や受託者はいつでも契約を解除できる。 ただし相手が不利な時期に解除したり、 委任者が受任者の利益(専ら報酬を得るものを除く)をも目的とする委任を解除したときは損害賠償責任を負う。 |
担保責任 | 受託者は、仕事の目的物が契約内容に適合しなければ担保責任を負う | 規定なし |
報告義務 | 受託者は、報告義務を負わない | 受託者は、委託者の請求があればいつでも事務処理状況を報告し、委任事務の終了後は顛末の報告義務を負う |
印紙税 | 課税文書 | 原則、不課税文書 |
根拠法 | 民法632条~642条 | 民法643条~656条 |
委託内容を定める
オンライン事務代行サービス業者としては、請負う業務内容と範囲をかなり細かく決めておくことが需要です。
もしこれらをアバウトに決めると、月額報酬の範囲内で「アレもやってよね」「コレもやってくれるんだよね?」と無限に作業が膨れ上がってしまい時給換算すると数百円という悲惨な事態になってしまいます。
このため、事務代行サービス事業者は契約書において、請負う業務内容と範囲を明確に定めておきましょう。
オンライン事務代行サービスの業務例
- 記帳代行
- 請求書発行
- 仕分け業務
- メール対応
- スケジュール管理
- 顧客折衝
- 出張手配
- 採用面接代行
- 労働社会保険加入
- 給与計算
- 資料作成
- 契約書チェックおよび作成
- 郵便物の荷受け・発送
著作権の帰属先を定める
オンライン事務代行サービスの業務委託契約では、様々な資料を作成しクライアントにメールで納品するシーンが頻繁にあります。
そこで、あなたが制作した資料の著作権をクライアント側に譲渡するのか?それともあなたがずっと権利をもつのか?といった点がしばしば問題となります。
著作権は原則、著作者が「著作権はあなたにあげるよ」と意思表示しない限り著作者に留保されます。(著作者の手元のまま)。
したがって、著作権を発注者に譲渡する場合は、契約書に下記の条項を盛り込む必要があります。
第○条(著作権の移転)
本著作物の著作権(著作権法第27条及び第28条に規定する権利を含む)は、第○条の対価の⽀払いにより、⼄に移転する。
なお、著作権法第27条及び第28条に規定する権利とは、例えば元の資料を修正したり、元の資料を集めて研修資料(二次的著作物)を制作する様な権利を指します。
つまり、事務代行サービス事業者であるあなたが著作権をクライアントに譲渡した後は、クライアントがあなたがデザインした資料を第三者へ譲渡しようが、あなたはそれを「止めて!」と言える権利がなくなるのです。
(翻訳権、翻案権等)
第27条 著作者は、その著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利を専有する。
(二次的著作物の利用に関する原著作者の権利)
第28条 二次的著作物の原著作物の著作者は、当該二次的著作物の利用に関し、この款に規定する権利で当該二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を専有する。
著作権を譲渡したくない場合は「利用許諾」にする
どうしてもクライアントに提供する資料やデータの著作権を譲渡したくない場合は、著作権は自分のところに置いたままにしておき、クライアントには利用範囲に制限をかけることも可能です。
この場合、契約書には「本資料の利用は、印刷物への利⽤及びウェブサイトにおける掲載に限る」などとしておきます。
ただし著作権譲渡ではなく『利用許諾』に留める場合は、クライアントから嫌煙されてしまうことは避けられないでしょう。
なぜなら利用許諾に留めた場合、クライアントはあなたから引き渡された著作物(資料やデータ)を自由に使うことができないのですから。
著作物の譲渡と利用許諾のバランス取りは非常にシビアです。
著作権を譲渡する代わりに報酬単価を上げる、もしくは著作権を利用許諾に留める代わりに報酬単価を下げる、などクライアントと協議しながら慎重に決定してください。
著作者⼈格権について定める
契約書の著作権条項には上記の「著作権法第27条及び第28条」に関するものとは別に『著作者人格権』についても定めておきましょう。
著作者人格権とは、一言でいうと「著作者のこだわりを保護する権利」
例えば「俺がデザインした資料の色を勝手に改変しないでくれ!」といった、著作者の心の内面に潜む想いを保護するための権利です。
著作者人格権はちょっと厄介で、人に譲渡することができません。
ということは、クライアントの立場からすれば、常に事務代行サービス事業者から著作者人格権を行使されるリスクが付きまといます。
そこで対策として、事務代行サービス事業者が自身の著作物に関して著作者人格権を行使しない旨を定めておくという方法があります。
これを『著作者人格権不行使特約』と呼びます。
第〇条(著作権の帰属)
1 乙は、甲に対し、成果物の著作者人格権を行使しないものとする。
著作権と著作者人格権については下記の記事を参考にしてください。
以上、著作権と著作者人格権の取り扱いについては慎重に決定するようにしましょう。
保証条項について定める
クライアントが、事務代行サービス事業者が制作した資料を用いてwebサイトを作りを一般公開したところ、この資料が第三者の著作権を侵害していた!こんなトラブルも起こり得ます。
この場合、クライアントは第三者から損害賠償等の責任追及をされます。
同時にクライアントの怒りの矛先は当然この資料を作成したあなたに向けられることでしょう。
このようなトラブルを防止するために、契約書で「事務代行サービス事業者が制作し、クライアントに譲渡した資料が第三者の著作者等を侵害していないこと」を保証する条項を入れておくと良いです。
これを保証条項と呼びます。
第○条(保証)
甲は、⼄に対し、本著作物が第三者の著作権、プライバシー権、名誉権、パブリシティ権その他いかなる権利をも侵害しないことを保証する。
もっとも契約書にこの条項を盛り込んだからと言って、第三者の著作者等を侵害していないことにはなりません。
事務代行サービス事業者であるあなたは、クライアントに提供する資料やデータが第三者の著作者等を侵害していないことに常に配慮しなければなりません。
印紙税について理解する
オンライン事務代行サービスの業務委託契約は、その内容により『請負契約』と『準委任契約』のいずれか判断が分かれます。
仮に、あるテーマを基にパワポでスライドを作成するといった業務内容であれば、この契約は請負契約に該当します。
そして請負契約は、印紙税法の第2号文書「請負に関する契約書」に該当。
請負に関する契約書の印紙税額は、契約書に記載された金額により変わります。
記載された契約金額 | 税額 | |
---|---|---|
1万円未満のもの | 非課税 | |
1万円以上 | 100万円以下のもの | 200円 |
100万円を超え | 200万円以下のもの | 400円 |
200万円を超え | 300万円以下のもの | 1,000円 |
300万円を超え | 500万円以下のもの | 2,000円 |
500万円を超え | 1,000万円以下のもの | 1万円 |
1,000万円を超え | 5,000万円以下のもの | 2万円 |
5,000万円を超え | 1億円以下のもの | 6万円 |
ただし、請負に関する契約書に該当するものであっても、営業者間において、継続する複数の取引の基本的な取引条件を定めるものは、第7号文書「継続的取引の基本となる契約書」に該当することがあります。
例えば同じパワポのスライド作成の業務委託契約であっても、3ヶ月の期間を超え、毎月定額払いで請負う場合は、印紙税法の第7号文書「継続的取引の基本となる契約書」とみなされ、印紙税額が異なります。
一方資料作成ではなく、メール対応や採用面接代行、郵便物の発送や記帳代行の仕事は、完成品を作るわけではありませんから『準委任契約』にあたります。
準委任契約には印紙税はかかりません。
請負契約と準委任契約、どちらに該当するのか?その判断に迷ったときは、契約内容で判断しましょう。
決して契約書のタイトルだけで判断してはいけません。
まとめ
今回は、オンライン事務代行サービス事業者に向けて、業務委託契約書の作成方法と作成時に気を付けるポイントを解説しました。
- 「請負契約」と「準委任契約」の違いを理解する
- 業務の委託内容を詳細に定める
- 著作権の権利帰属を定める
- 保証条項について定める
- 印紙税について理解する
この他にも損害賠償や秘密保持条項など抑えるべきポイントは多数ありますが、今回紹介した事項は特に重要ですから必ず理解しておきましょう。
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