SNSで雑誌の表紙や新聞記事が頻繁にアップされてるけど、あれって著作権法違反じゃないの?
厳密に言えば違反ですね。
しかし、一定のルールを守れば問題にならないケースもあります。
今回は、SNS投稿や紙面媒体などの著作物を適法に引用・利用する方法を解説します。
引用の絶対ルール「引用の5条件」を確認しよう
まず著作物を引用するためには、「引用の5条件」を理解しておく必要があります。
- 公表された資料であること
- 明瞭区分性
- 引用の目的上正当な範囲内であること
- 出典を明示すること
- 引用部分を改変しないこと
これら5つ条件を全て満たせば、著作物を適法に引用することができます。
引用の5条件については以下の記事で詳しく解説していますので、こちらを参照してください。
目的別の引用・利用方法
歌詞
歌詞は、一部を抜粋して引用することは問題ありません。
しかし、歌詞を全て掲載すると引用の5条件を満たすことができなくなる可能性があるので注意が必要です。
心配な場合は、一般社団法人音楽著作権協会(JASRAC)やNexToneなどの著作権管理団体に確認を取り、引用・利用許諾を取り、使用料を支払えば確実。
なおブログで歌詞を掲載したい場合、アメブロやライブドアブログであればサービス提供者自体がJASRACと包括許諾契約を締結しているので、安心して掲載できます。
YouTubeやニコ動、インスタやティックトックなども同様に包括許諾契約していますので、掲載可能です。
SNS投稿
Xやインスタ、YouTubeやティックトックなどで他人の投稿を引用したい場合、投稿文章をコピペすると著作権侵害にあたります。
この場合は、各SNSの埋め込み機能を使えば問題ありません。
各サービス提供事業者は利用規約で、埋め込み機能を使って引用するのはOKとしています。
Xのスクショは引用になる?
なお、Xで他人のポストをスクショ引用しているケースが多見されますが、これは結論から言って著作権侵害には該当しません。
Xの引用機能は、自分が他人の意見を批評するときに用いられることが多いです。
この時Xの『引用』機能を用いた場合、元ポストが削除されたら引用も同時に消されてしまうので批評した証拠を残すことができません。
しかし、スクショであればこのような事態を避けることができますよね。
実際裁判では、スクショ引用は多数行われている「公正な慣行にあたる」として有効性を認めています。
(知財高裁令和5年4月13日判決)
原告が、2021年3月18日から同年3月21日にかけてTwitterで自分のツイートのスクリーンショット画像を添付した投稿がされたのは著作権侵害であると主張した事件。
判決は「スクリーンショットの添付という引用の方法も、著作権法32条1項にいう公正な慣行に当たり得るというべき」としてスクショ投稿は著作権侵害に該当しないと判断した。
写真やイラスト
引用の5条件を満たせば、写真やイラストもブログやSNSで掲載可能です。
実際Xでは漫画の一コマが画像としてコメントと同時にアップされていますよね。
ただし、漫画の一話全てを掲載するのは転載扱いになるのでアウトです。
新聞の紙面
SNSやブログで、新聞の紙面や雑誌の表紙をアップしているものが多見されますが、厳密に言うと著作権上の「複製権」の侵害にあたります。
雑誌や新聞をコピーする行為は私的使用の範囲内であれば問題ないのですが(著作権法第30条「(私的使用のための複製)」)、ネットでアップする行為は私的使用とは認められないからです。
しかし、引用の5条件を満たせばブログやSNSで掲載可能です。
- 公表された資料であること
- 明瞭区分性
- 引用の目的上正当な範囲内であること
- 出典を明示すること
- 引用部分を改変しないこと
例えば自身のブログである新聞の社説に対して批評をする際、ブログ記事の9割が自身の批評で残りの1割は社説を引用している。
こんな引用あればセーフです。
しかし、1割が自分の批評で残り9割が社説を丸ごとコピーしたものだと引用の範囲を大幅に超えていますし、上記②の明瞭区分性の中の「主従関係」満たしていないのでアウトとなる可能性が高いです。
東京地裁平成22年5月28日判決(平成21年(ワ)第12854号)
あるがん患者の治療を担当していたクリニックが、がん患者のブログを無断で転載したことが発端となった事件。
クリニックが自身のウェブサイトに患者のブログを引用掲載する際、クリニックは冒頭文をちょっと書くだけ、残りはほとんどがん患者のブログを転載した。
分量や内容から転載記事に主従関係があるとは認められない、本件転載は複製権、公衆送信権侵害に当たると判断。
雑誌や本の表紙
雑誌や本の表紙をSNSやブログで紹介している人は多いですね。
しかしこれも厳密に言うと著作権の侵害にあたります。
これらの表紙も著作物に該当するからです。
つまり原則、雑誌や本の表紙をブログなどで使う場合は著作権者の許諾が必要なのです。
しかし出版社によっては表紙画像の使用を認めているケースもあります。
これは各社取り扱いが異なるので、ガイドラインを確認しましょう。
岩波書店は、上記のガイドラインを公表。
「ウェブで公開する場合は、そのURLをお知らせください」としています。
メールや手紙
個人間でやり取りするメールや手紙を、ブログやSNSで無断で引用すると著作権の侵害にあたります。(複製権、公衆送信権)
メールや手紙は著作権法上の「公表された著作物」ではないからです。
また著作者人格権の中の『公表権(著作権法18条1項)』をも侵害することになります。
公表権とは、著作権者が著作物を公表する権利、公表するならいつ公表するか、を決められる権利のこと。
「勝手に俺(私)のメールや手紙を公表するな」ということです。
(東京高裁平成12年5月23日判決)
三島由紀夫の文通相手が、三島から受け取った未公表の私信15通を、三島との交際を中心とした書籍「三島由紀夫‐剣と寒紅」に無断で掲載したことが発端となった事件。
東京高裁は2000年5月23日の判決で、以下のように判断。
公表権侵害:
本件各手紙は私信であり公表を予期せずに書かれたものであることから、三島由紀夫が生存していたならば公表権の侵害となる行為であると判断
手紙の著作物性:
本件各手紙は三島由紀夫の思想や感情を創作的に表現した文章であり、著作物性を認めた。
最終的には著作権者の判断による
これまでの解説を見てきたけど、厳密に著作権法を守っている人なんかいるの?
みんな好き勝手に画像を引用・掲載しているように見えるけど?
ユキマサくんの言う通りです。
しかし著作物の取り扱いは時代とともに変わりつつあるようです。
実際、XやインスタなどのSNSでは、雑誌の表紙や新聞の一部を(おそらく著作権者に無断で)投稿している人がたくさんいます。
それではこの人たちは全員著作権法違反で罰せられるのか?と問われればそうではありません。
いやいや、結局どっちニャんだよ!
確かに著作権者に無断で著作物を転載したり、引用の5条件を満たさずに引用すると著作権侵害にあたります。
それでは、みんな片っ端から逮捕されているか?といえばそんなことは起きていないでしょう。
それは著作権侵害は原則『親告罪』だからです。
著作権者が告訴しない限り、無断利用者が罰せられることはないのです。
考えてみてください。
例えばあなたが新人のイラストレーターだとします。
知らない人がSNSで自分のイラストを勝手に紹介しているの発見して「勝手に載せるな!著作権侵害だ!」と見つけ次第に訴えますか?
そんなことはしないでしょう。
むしろお礼を言いたいぐらいですよね?
「拡散してくれてありがとう!」って。
YouTubeでゲーム実況をしている人も多いですが、あれも厳密にいえば著作権侵害です。
しかしゲーム開発メーカーは、ユーチューバーを片っ端から告訴しませんよね?
ゲームメーカーも自社のソフトを好意的に紹介してもらえれば売上げが上がるからです。
つまり著作権者が無断引用、無断利用されることにメリットを感じていれば別に問題がないわけです。
しかし、無断引用や無断利用されて嬉しいとか悲しいとか、メリットだデメリットだ、などの感情は著作権者にしか分かりません。
したがって、ブログやSNSで他人の著作物を引用・利用する際は、原則引用の5条件を満たす必要があるということを理解しておきましょう。
各ゲームメーカーは、ゲーム実況に関してガイドラインを公表しています。
実況者は、必ず確認しておきましょう。
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映画、音楽、テレビ番組の制作会社:コンテンツの制作・配信において著作権が重要なため、著作権侵害を防ぐための教育が不可欠。
ゲーム業界:ゲーム開発やデザイン、音楽の使用において著作権が関連します。
出版業界:書籍、雑誌、電子書籍の著作権管理やライセンスが必要。 - クリエイティブ業界
広告業:広告やデザインの制作に関して、第三者の著作物を適切に使用するための知識が必要。
グラフィックデザイン、ウェブデザイン:画像やフォントなどの素材の著作権を理解し、正しく利用するために教育が求められます。
写真家、映像制作者:自らの作品の保護と、他者の作品の利用についての理解が重要。 - IT・テクノロジー業界
ソフトウェア開発者:ソフトウェアのライセンスやコードの使用に関して、著作権やオープンソースライセンスの知識が不可欠。
プラットフォーム運営者:ユーザー生成コンテンツの管理に関して、著作権侵害を防ぐ責任が求められます。 - 教育・学術機関
学校・大学:教育現場で使用する教材や学術論文の著作権を適切に扱うため、教員や学生に対する著作権教育が重要。
研究者:研究成果や論文の著作権管理についての理解が求められます。 - メディア・ジャーナリズム
新聞社、テレビ局、オンラインメディア:記事や映像、写真の使用に関する著作権の取り扱いが非常に重要です。 - Eコマース・マーケティング業界
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配布する研修資料自体の著作権に関する取扱いを定める必要があります。
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商取引に関する契約書
- 動産売買契約書
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