契約書では通常、損賠賠償に関する規定を定めるよね?
その中でも「過失」とか「重過失」って言葉をよく見るんだけど、これらの違いを教えてくれニャいかな?
「過失」は、注意力が抜けていたような状態。
一方「重過失」は、ほとんど「わざと」に近いほど注意力が欠けていた状態を指します。
これらの違いを理解したうえで契約書を作成しないと、契約自体が無効になることもありますので注意が必要です。
今回は、両者の違いと「損害賠償責任条項」を定める際の注意点について解説します。
契約書には頻繫に「過失」や「重過失」という法律用語が登場します。
契約書の作成・リーガルチェックをおこなう法務担当者や、企業と業務委託契約を締結する機会の多いフリーランスの方は、これらの違いについて理解を深めましょう。
民法で損害賠償責任が発生する要件
契約は民法の原則に則り締結され、またその有効・無効の判断されます。
契約書の『損害賠償責任』は、その損害の発生原因が「故意」、「過失」のいずれかによって、免責・有責の判断基準や賠償責任の度合いが異なります。
「過失」は『軽過失』と『重過失』の2種類があります。
「故意」とは、「わざと」や「悪いことと知りながら」という意味。
契約の相手方にわざと損害を与えたのであれば、当然に当人は損賠賠償責任を負います。
しかし問題となるのは、わざとではないが過失(注意不足)があった場合。
この場合は、『軽過失』と『重過失』どちらに該当するのかによって、責任の可否や契約条項の有効無効が左右されます。
「過失」と「重過失」の違い
第〇条
甲は、乙が本件製品を使用することで被った損害について、一切の賠償責任を負わないものとする。
ただし、当該損害が甲の故意又は重大な過失によって生じた場合は、この限りではない。
過失とは
過失とは、一言で説明すると「注意義務違反」のこと。
「注意義務違反」は、良くない結果が起こることが予測できたか(結果の予見可能性)?かつ、それを回避することができたかどうか(回避可能性)?が前提となります。
重大な過失とは
「重大な過失」とは、ちょっと注意すれば簡単に予測、危険を回避できたのにもかかわらず、それをボケーっと見過ごしていたような著しく注意を欠いていた状態(ほとんど故意に近い著しい注意欠如の状態)をいいます。
例えば、飲酒運転で事故を起こした場合など。
「著しく注意を欠いていた状態」とは、その名の通り、注意義務違反の程度が顕著な場合を指します。
著しい注意義務違反(重過失)というためには、結果の予見が可能であり、かつ容易であることが前提となります。
損害賠償義務を免除する規定が無効になるケース
「甲(事業者)は損害賠償義務を一切負わない」など、事業者の損害賠償義務の全部または一部を免除(制限)する規定を見かけることがありますが、契約の相手方が一般消費者と企業ではその取扱いが異なるので注意が必要です。
BtoCビジネス
企業対一般消費者の契約(BtoCビジネス)においては、事業者側の損害賠償義務を全て免除したり一部の責任を免除する規定(責任制限条項)は『消費者契約法』により無効となります。
第8条(事業者の損害賠償の責任を免除する条項の無効)
「消費者契約法」
次に掲げる消費者契約の条項は、無効とする。
1 事業者の債務不履行により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除する条項
2 事業者の債務不履行(当該事業者、その代表者又はその使用する者の故意又は重大な過失によるものに限る。)により消費者に生じた損害を賠償する責任の一部を免除する条項
【責任制限条項とは?】
契約の中で双方の当事者が合意した、一方又は双方の当事者が負うべき責任について、これを制限する条項。
企業が損害賠償請求された際のリスクを制限し(抑えて)、賠償責任の範囲を制限する(狭くする)ことを目的とする場合に用いられる。
BtoBビジネス
事業者同士の契約(BtoBビジネス)の場合であっても、事業者側に故意・重過失がある場合は、免責や責任制限条項は公序良俗に反し無効であったり、契約条項の解釈によっては適用除外となります。
この点を理解しておかなければ、せっかく損害賠償額の免責規定や損害賠償の上限額を定める規定を盛り込んでも、契約書そのものが無効になってしまいます。
まとめ
- 過失とは「注意義務違反」のこと
- 重大な過失とは「著しい注意義務違反」のこと
- 過失の前提には「結果の予見可能性」と「結果の回避可能性」が必要
- 賠償責任保険条項を盛り込んでも、故意または重過失がある場合は、責任制限の効力は生じない
今回は、契約書の損害賠償責任条項「過失」と「重過失」の違い、そして損害賠償義務を免除する規定が無効になるケースを解説しました。
とりわけ、企業間同士(フリーランスを含む)の契約場面では、これらの点を理解したうえで契約書を締結またはチェックしましょう。
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