収入印紙ってけっこう高くてバカにならないよね。
コピーしたら1通分費用が浮いてりして?
コピーしても問題ありませんが、いくつか注意が必要ですよ。
今回は、業務委託契約書(請負契約書・基本取引契約書)等に貼る印紙税でよくある勘違いを3つ解説します。
印紙税とは、印紙税法によって定められた課税文書を作成する際に課税される税金のこと。
金銭をやり取りする業務委託契約書等や領収書を交わす場合などに、所定の税金を納める義務があります。
実務上は「収入印紙」を購入し、文書に貼り付けることで税金を納めたことになります。
この収入印紙の取り扱いについてですが、法務部門の担当者であっても誤った認識をしているケースが少なくないようです。
このような背景を踏まえて、今回は業務委託契約書(請負契約書・基本取引契約書)等に貼る印紙税について、よくある勘違いについて解説します。
印紙税の判断は、税務署の職員の裁量により、実際の契約書の文言や契約の背景、契約当事者の意向などを総合に勘案し、個別具体的におこなわれます。
本記事の内容は、印紙税に関する一般的な内容であること、個別の契約書全てに該当するものではないことをご了承ください。
印紙税は契約書のタイトルでは決まらない
これから締結しようとする業務委託契約書が「印紙税の対象となるのか分からない。請負契約に該当するのか、基本取引契約に該当するのか分からない。」というケースは往々にしてあります。
しかし、分類区分が分からないからと言って、最終的に業務委託契約書のタイトルから印紙税額を判断してはいけません。
なぜなら印紙税は契約書のタイトルで「課税文書が何号文書に該当するのか」や、「課税額」が決まるわけではないからです。
これらは、最終的に契約の内容にもとずいて実質的かつ個別具体的に判断されます。
つまり『請負契約書』というタイトルだから「2号文書だろう」、『継続的基本取引契約書』というタイトルだから「7号文書に該当するだろう」と、タイトルで判断するのではなく、あくまでその内容で判断します。
※2号や7号など、印紙が必要な『8種類』の契約書の類型については下記の記事を参考にしてください。
考え方としては、契約書のタイトルに関係なく、内容に「仕事の完成」と「報酬の支払い」についての条項が含まれており、契約の当事者同士の合意が見て取れるのであれば、その契約書は2号文書に該当すると判断されます。
従って、単に印紙税の負担を逃れるために業務委託契約書とは全くかけ離れたタイトルを付けても意味がないのです。
消印は押印に限られない
消印は切手や収入印紙等に重なる形で押印する方法。
消印の目的は、
①その切手や収入印紙が使用済みであることと、
②再利用ができないこと、
を表すために用いられます。
この消印は、「担当者の印鑑や社印でなければならない」と思い込んでいる方が多いようですが、必ずしも印鑑を用いる必要はありません。
印紙税法では、本法、施行令、基本通達により、消印について以下のような定めをしています。
- 消印は、文章の作成者または、代理人、使用人、その他の従業者の印章または署名する
- 複数人が共同して課税文書を作成した場合は、その全員による消印でもよいし、誰か一人の消印でもよい
- 印章は、通常の印章の他に、氏名・名称等の表示のある日付印や、役職名、名称等の表示のあるゴム印でも可
つまり、消印は署名でも担当者がボールペンで署名する形でも大丈夫なのです。
とは言え、実際の契約シーンでは署名で消印することは滅多になく、ほとんどが、契約印、契印、代表者印を用いています。
署名方式は、印鑑を契約現場に忘れた場合の最終手段として考えておきましょう。
契約書をコピーしても印紙税がかかる場合がある
印紙税(収入印紙)は、契約書の内容により印紙税額が決まり、内容によっては高額になります。
例えば、2号文書(請負契約書)は、その記載された契約金額が「1千万円超~5千万円」であれば、印紙税額は2万円。
なかなか高いですよね。
企業から仕事を請負う、フリーランスや個人事業主の方にとってはけっこうな負担になります。
しかし「印紙税が高額で負担したくない」という理由で、契約書をコピーする場合は、注意が必要。
コピーでも印紙が不要なケース
この様な場合は、コピーされた契約書は写真と同じ様な扱いなので印紙税法上は課税文書とはみなされません。
課税文書に該当しないのであれば、当然収入印紙も不要です。
コピーでも印紙が必要なケース
業務委託契約書をコピーした場合でも、印紙が必要なケースは2つ
契約の当事者双方の署名または記名捺印がある
このケースでは、『コピーであったとしても実質的には正本と同じだよね?』と指摘されるので課税文書に該当。
したがって、収入印紙の貼付は必要です。
契約書に、契約の当事者双方の記述がある
・契約書に「正本の内容と相違ないこと」を表明する記述をしている。
・契約書が「正本の写し・副本・謄本等」であることを確認している記述をしている。
「本紙は契約書の正本の写しに相違ありません」と一筆添えて、契約者双方が押印したり、正本とコピーされた契約書に割印が押してあると、これも同様、『コピーであったとしても実質的には正本と同じだよね?』と指摘されるので課税文書に該当します。
要は、実質的に正本と同視できる条項が盛り込まれてあったり、押印等があれば課税文書に該当してしまうのです。
まとめ:印紙税は正しく収めよう
今回は業務委託契約書(請負契約書・基本取引契約書)等に貼る印紙税について、よくある勘違いを3つ挙げました。
- 印紙税は契約書のタイトルでは決まらない
- 消印は押印に限られない
- 契約書をコピーしても印紙税がかかる場合がある
万が一、業務委託契約書に印紙税を貼り忘れた場合であっても、その場で罰則を受けることはありませんが、後々の税務調査等で貼り忘れが発覚することがあります。
この場合は、過怠税として、納付しなかった印紙税額+その2倍相当、が課せられます。
このように、後で貼り忘れが発覚した場合はペナルティーが高くつくことになりますので、これからは契約書1つひとつに正確な収入印紙を貼ることを心がけておきましょう。
特にフリーランスや個人事業主の方は、法務部門や総務担当者が最終チェックをしてくれるわけではありませんから、十分注意する必要があります。
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