業務委託契約書の中でも判別が難しい[請負契約と委任契約]の違いについて解説

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ユキマサくん

フリーランスの僕は『業務委託契約書』をよく交わすんだけど、これって『請負契約』と『委任契約』どちらに該当するのかニャ?

純さん

契約に至る経緯や、契約内容によって表題(タイトル)は変わりますので、業務委託契約書=○○契約書、とは一概には言えません。

ユキマサくん

なるほど。
そもそも『請負契約』と『委任契約』の違いがよく分かってないんだよね。

純さん

分かりました。
それでは今回は業務委託契約書の中でも判別しにくい『請負契約』と『委任契約』の違いについて解説します。

この記事を読んで分かること

業務委託契約書において『請負契約』と『委任契約』の違い

目次

業務委託契約書とは

外注化のリスク

企業が業務の一部を、専門性の高い外部の企業、個人事業主、フリーランスに外注することを『業務委託』といい、その外注内容、報酬、支払い期日、解約権、保証内容等を定めたものが業務委託契約書です。

企業は一時的な受注増に対応を迫られることがあっても、その為にわざわざ社員を採用することなく、必要な期間に必要な人数だけ専門家をアウトソーシングできる点が業務委託契約のメリットではありますが、その反面、品質にバラつきが発生したり、個人情報や機密情報といった『機密漏洩』のリスクが発生する点はデメリットとなります。

このため業務委託契約書において、業務内容や責任の所在、個人情報の取り扱い義務や秘密保持義務(NDA)等を明確に定め、可能な限り契約中はもちろん契約終了後のリスクを抑える必要があります。

2種類の業務委託契約

業務委託契約は大きく2種類に分類されます。

  1. サービスに関する業務委託契約
    (例)コンサルティング契約、研究開発契約、保守・メンテナンス契約、人材派遣契約、WEBサイト作成契約、営業委託契約
  2. 物の製造に関する業務委託契約
    (例)製造委託契約、OEM契約、運送管理契約、建設工事請負契約

『請負契約』と『委任契約』どちらに該当するのか

実際の契約現場で問題となるのが、締結しようとする業務委託契約書が『請負契約』と『委任契約』どちらに該当するのか分かりにくいということ。

この2つの契約は、受託者(受任者)の責任の所在や、契約解除権等が異なりますので、業務委託契約書を交わす契約担当者、フリーランスの方は、両者の違いについては必ず理解しておかなければなりません。

請負契約と委任契約の違い

まず業務委託契約とは、民法上の「請負契約」と「委任/準委任契約」の2つを合わせた言葉の総称である点を押さえておきましょう。

その上で、両者の違いについて解説します。

請負契約

請負契約は、請負人(受託者)が依頼者から委託された目的物を完成することを約束し、発注者(注文者、依頼者)がその結果に対して報酬を支払うことで成立する、[有償・双務・諾成契約]です。

有償契約:当事者が相互に対価を給付する契約のこと。
双務契約:当事者の双方が相手方に対して、債務(義務)を負う内容の契約のこと。
諾成契約:物の引渡しなどを要することなく、当事者の合意のみによって成立する契約のこと。

依頼者の要求する目的物を仕様書通りに完成させることは、請負人にとって最も基本的な義務です。

その目的物の引き渡しの対価として報酬を請求できるのですから、契約書面の「報酬支払規定」はフリーランスや個人事業主にとっては重要な事項と言えるでしょう。

この[目的物の引き渡し]と[報酬の支払]が同じタイミングである点は請負契約の特徴の一つです。

そして、この約束事を『同時履行の関係』と呼びます。

また請負人(受託者)は、当然のことながら仕事(目的物)の完成に絶対的な義務を負うので、目的物が仕様書通りに完成されなければ契約不適合責任(修補・代替物の引き渡し・代金減額請求等)を負います。

この様に、目的物の完成が絶対条件で、かつ請負人に重大な責任が課される契約を『請負契約』といいます。

委任契約

委任契約は『法律行為』や『事実行為』を依頼する契約を指します。

事実行為を依頼することを『準委任契約』といい、業務委託契約は一般的には『委任』ではなく『準委任』に該当することが多いです。

法律行為:権利の発生や変更・消滅などの権利が変動する原因の一つを指す。
(例) 契約、契約の解除、遺言、会社の設立など。
事実行為:法律行為に相対するもの。それを行っても、法律上の効果を生まない行為
(例)ボールペンをA地点からB地点に移動させた。

委任契約は、民法では無償契約が原則ですが、特約があれば受任者は委任者に対して報酬を請求することも可能です。

また受任者は、善良なる管理者の注意義務をもって事務を処理する(善管注意義務)を負い、この義務を尽くせば委任者が期待した結果を出せなくても債務不履行責任を負うことはありません。

しかし、委任された業務を雑に処理するなど、業務遂行過程に問題があった場合は善管注意義務違反として損害賠償請求されることもあります。

例えばあなたが風邪を引いて病院で診てもらうとします。

このとき先生はあなたの身体を診察する契約を結びますが(実際に契約書を交わすことはありませんが)、風邪を治すことを約束するわけではありませんよね?

手術も同じ。失敗する可能性はあるけど全身全霊でやってみる。(医療体制に重大な過失があれば損害賠償責任を負う)。

このように、委任契約は、受任者は最善を尽くすが必ずしも委任者が求める結果を保証するものではない

この点が請負契約と大きく異なります。

また、契約を途中で解約したいと考えた場合、請負契約では、請負人(受託者)から解約は言い出せません。

しかし委任契約は、いつでも請負人(受任者)からの解除が認められています。

他にも、請負契約の業務委託契約書は課税対象になるが、委任契約の業務委託契約書は非課税である、等の違いがあります。

契約書のタイトル(表題)はあまり関係がない

この様に、請負契約と委任契約では大きな差異があるにもかかわらず、実際の契約場面では、どちらの契約に該当するのか判別が難しいケースが往々にしてあります。

例えば、コンサルティング契約において、市場調査や消費者動向調査を目的とするのであれば『委任契約(準委任)』に該当しますが、その調査結果をレポート(成果物)にまとめて納品し、今後の戦略・立案までをも含むのであれば請負契約に該当します。

このとき気をつけなければならない点が、契約書のタイトル(表題)。

請負契約と委任契約の関係・違いが分からないからと、なんとなく「請負契約書」なんとなく「委任契約書」と明記するのはおすすめできません。

冒頭にも書きましたが、請負契約・委任契約どちらに該当するのかは、契約に至る過程や契約内容などから総合的に熟考し判断されますので、契約書のタイトル(表題)が「請負契約書」と書いているからと言って契約内容も『請負契約』に変化するわけではないのです。

契約内容は契約書のタイトル(表題)には拘束されない、と認識しておきましょう。

また、請負契約と委任契約どちらが「法的拘束力が強い」といったことや、どちらが「法的に有利」だ、といったことは断定できません。

両者は責任の所在や役割が異なるためです。つまり業務委託契約書において、請負契約と委任契約どちらに該当するのか判断に迷う場合は、契約内容から判断することになります。

請負契約と委任契約の違いは、製造業における外部委託の場面でも重要になります。

たとえば製造現場の一部工程を外部へ委託する場合、契約形態の整理に加えて、業務範囲や責任範囲、指揮命令系統を明確にしておくことが大切です。

製造業における請負・業務委託の実務上の考え方については、パーソルファクトリーパートナーズ株式会社さんの

製造請負と業務委託の違いは?契約時の注意点・企業選定のポイントまで解説

こちらの記事で分かりやすく解説されています。

よかったら参考にされてください。

【図表】請負契約と委任契約の違い

請負契約委任・準委任契約
契約の目的受託者が委託された仕事を完成させる受託者が委託された事務を処理する
受託者の義務受託者は仕事を完成する義務を負う受託者は善管注意義務を負う
報酬請求権受託者は仕事を完成した後でなければ報酬を請求できない受託者は委任事務を履行した後でなければ報酬を請求できない
契約解除権委託者は、原則仕事が完成するまではいつでも損害を賠償して契約を解除できる。委託者や受託者はいつでも契約を解除できる。
ただし相手が不利な時期に解除したり、
委任者が受任者の利益(専ら報酬を得るものを除く)をも目的とする委任を解除したときは損害賠償責任を負う。
担保責任受託者は、仕事の目的物が契約内容に適合しなければ担保責任を負う規定なし
報告義務受託者は、報告義務を負わない受託者は、委託者の請求があればいつでも事務処理状況を報告し、委任事務の終了後は顛末の報告義務を負う
印紙税課税文書原則、不課税文書
根拠法民法632条~642条民法643条~656条
参考:業務委託契約書作成のポイント2(中央経済社)

まとめ

今回は、請負契約と委任契約の違いについて解説しました。

両者には、仕事の完成義務や契約解除権、そして担保責任についても明確な違いがあること、そして契約書のタイトル(表題)は契約内容によって判断されるという点をご理解いただけたかと思います。

フリーランスや個人事業主の方は、これらの違いに注意しながら契約書を作成・締結しましょう。

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