アクション映画を撮影するにあたり、脚本家に脚本(シナリオ)を執筆してもらいたいんだ。
脚本家とのトラブルを防止するためにも、契約書を作成・チェックする際に気を付けるポイントはあるかな?
動画制作を前提とした執筆依頼の契約書では、『著作権』に関する条項が最重要ポイントですね。
著作権を譲渡するのか、それとも利用許諾に留めるのか。
今回は、脚本の執筆委託契約書の作成で気を付けるポイントを解説します。
脚本・シナリオの執筆委託契約書とは
映画、ドラマ、アニメなど、様々な映像コンテンツがありますが、これら動画の脚本・シナリオを、脚本家(ライター)に執筆してもらうときに用いるのが『脚本・シナリオ執筆委託契約書』です。
主に脚本・シナリオの内容、納期、納品、検収、報酬、著作権の帰属先、守秘義務等について定めます。
この中でも、著作権条項は特にトラブルに発展しやすい部分ですので、動画クリエイター(制作者)と脚本家との間で慎重に協議して、定めるようにしましょう。
脚本(シナリオ)執筆委託契約書の作成で気を付けるポイント
第1条(対象業務)
甲は乙に対し、甲が製作する本映画のために、その脚本の執筆業務 (以下「対象業務」という。) を依頼し、乙はこれを承諾する。
脚本家の権利を理解する
最初に、脚本家が執筆した脚本には、様々な著作権が発生することを理解しましょう。
脚本は、やがて映画やドラマ、アニメなどに映像化されます(二次的著作物になる)ので、元の脚本は『原著作物』という扱いになります。
そして脚本家(ライター)は、『原著作物』の著作者として、著作権法上「著作権」と「著作者人格権」という2つの権利を有します。
著作権には、第27条の権利(自分の作品を勝手に、翻訳・編曲・変形・脚色・映画化するな!と言える権利)と、第28条の権利(著作者には二次的著作物の利用権があること)の2つがあります。
また著作者人格権には、以下の4つの権利があります。
- 公表権(無断で脚本を公表するな!と言える権利)
- 氏名表示権(作品には俺の氏名を表示しろ(するな)!と言える権利)
- 同一性保持権(作品を無断で編集するな!と言える権利)
- 名誉声望権(著作物を、俺の印象が悪くなるような使い方をするな!と言える権利)
上記4つの著作者人格権の中でも、脚本(シナリオ)執筆委託契約書では②氏名表示権と③同一性保持権が問題となりやすい事項です。
動画クリエイターが契約書を作成する際、脚本家にはこれらの権利が発生すること、そしてこれらの権利には特に配慮する必要がある点を抑えておきましょう。
二次的著作物の概要を伝える
脚本家に執筆を委託し、出来上がった脚本は、やがて映画やアニメなどの動画コンテンツ(二次的著作物)として生まれ変わります。
これを踏まえて動画クリエイターは、二次的著作物となる作品の概要を、あらかじめ脚本家に伝えておく必要があります。
具体的には契約書に下記の項目を盛り込みます。
- タイトル
- 監督
- プロデューサー
- 制作者・製作委員会
- 制作年(予定)
- 作品の尺(予定)
- 公開予定
委託内容を定める
次に、動画クリエイターが脚本家に執筆委託する内容について明確に定めます。
下記の項目は事例ですが、制作条件をまとめた『執筆要項』を別紙にまとめると良いでしょう。
- 脚本のタイトル(仮題)
- 脚本の概要
- 共著の許諾
『共著の許諾』とは、「脚本の執筆はあなた一人でおこなってくださいね。第三者との共著は認めませんよ」ということ。
これは知らない共著者が脚本執筆に関わることを防止する目的で定めます。
第三者が関わると著作権などの権利関係が複雑になり、二次的著作物の制作に障害が出るため、この様な規定を盛り込む必要があります。
納品・検査期限を定める
脚本家との間で、脚本(シナリオ)の納品・検査期限を定めます。
- プロット
- 準備稿
- 決定稿
の3つに分け、それぞれ脚本家の納品期限と、動画クリエイター(制作者)の検査期限を契約書に定めます。
リライトの上限回数を定める
契約書で上記、納品・検査期限を定めた場合であっても、クリエイターが脚本家にリライトを依頼する場合があります。
1度や2度の修正依頼には対応できるかもしれませんが、際限がなければ脚本家としては困りますよね。
実際、イラスト制作の業務委託契約で、デザイナーは依頼者の求めに応じて何度も修正に応じなければならないのか?が問題となった判例もあります。
そこで契約書には、リライトに対応できる上限回数を定めておくとトラブルを防止することができます。
著作物の権利の帰属先を定める
脚本が完成すると、その脚本を元に動画(映画やテレビ、アニメ等)が制作されます。
このように脚本は動画制作のために使うことが前提となっていますので、著作権(第27条と28条)の権利を、委託者(動画クリエイター)と受託者(脚本家)のどちらに帰属させるのか?を契約書に定める必要があります。
※なお、著作者人格権は著作者の心の中に存在し続けるものなので譲渡することはできません。
例えば映画化を前提とした脚本の執筆依頼の場合、脚本の著作権を委託者には譲渡せずに、脚本家に留保することが多いです。(留保型)
この場合、脚本家には執筆料、興行収入に応じた報酬、DVD売上げに応じた報酬等が支払われます。
一方この様なDVD化、つまり二次利用を予定していない規模の映画やアニメなどの動画の場合は、脚本の著作権を委託者に譲渡することもあります。(買取型)
留保型と買取型、どちらが良いのかについては、クリエイターと脚本家それぞれの立場や、二次的著作物の売れ行き等により異なります。
執筆料を定める
動画クリエイターは、脚本家に執筆を委託する対価として執筆料を支払います。
契約書には具体的に以下の項目を盛り込みましょう。
- 執筆料
- 支払期限
- 二次使用料その他の報酬の発生要件
執筆料は、
- プロット
- 準備稿
- 決定稿
の3段階に分けて支払うことも問題ありません。
このように支払いを作業段階に応じた分割払い方式にすると、執筆途中でクリエイターから一方的に依頼をキャンセルされた場合であっても、可分に応じた報酬を請求しやすいというメリットがあります。
クレジット規定について定める
『クレジット』とは、動画の出演者、スタッフ、関連企業など、映像作品に関わる人の氏名や、作品に使用した音楽タイトル等について字幕で表記することです。
このクレジットの表記の有無を契約書に定めます。
もっともクレジット表記は動画の性質により決まることが多いため、脚本家の要望が受け入れられないケースもあります。
表明保証について定める
『表明保証』とは、脚本家に対して、「自身が執筆した脚本が完全オリジナルの脚本であること」や、「第三者の権利を侵害していないこと」を宣誓してもらうことです。
「クリエイターが受け取った脚本を元に動画を制作したが、後でその脚本が別の小説をパクったものだった!」こんなケースもあり得なくはありません。
このような事態を防ぐために、契約書に表明保証条項を盛り込む必要があるのです。
印紙税について理解する
脚本(シナリオ)の執筆委託契約書は請負契約に該当するため、請負金額に応じた印紙の添付が必要となります。
印紙は、原則文書の作成者が負担すると定められていますが、契約当事者の合意により、これを変更することは可能です。
印紙自体を貼り忘れた場合は、本来の印紙税額+その2倍の過怠税が課せられます。
まとめ
今回は、映画、テレビ、アニメの動画クリエイター向けに、脚本(シナリオ)の執筆委託契約書の作成で気を付けるポイントを解説しました。
- 脚本家の権利を理解する
- 二次的著作物の概要を伝える
- 委託内容を定める
- 納品・検査期限を定める
- リライトの上限回数を定める
- 著作物の権利の帰属先を定める
- 執筆料を定める
- クレジット規定について定める
- 表明保証について定める
- 印紙税について理解する
これらの中でも「著作物の権利の帰属先」は最も重要な条項となります。
委託者と受託者の間で、しっかりと合意したうえで契約書を作成するようにしましょう。
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