発注者が代金を支払ってくれないから公正取引委員会にチクったんだよね。
そしたら発注者が頭にきたらしく取引を停止されちゃったよ。
それは下請法に違反する行為ですね。
今回は親事業者の仕返し行為『報復措置の禁止』について解説します。
親事業者の仕返し行為『報復措置の禁止』とは
親事業者が、下請事業者が親事業者の下請法違反行為を公正取引委員会や中小企業庁に知らせたことを理由として、その下請事業者に対して
- 取引数量を減じたり、
- 取引を停止したり、
- その他不利益な取扱いをすること、
を報復措置といい、下請法では報復措置を禁止しています。
簡単に言うと「チクられたからといって仕返し行為はいけませんよ」ということ。
なお、単に親事業者が下請事業者に対して不利益を与える行為は下請法での報復措置には該当しません。
報復措置をされたときの対処法
それでは実際に親事業者から報復措置に遭った場合の対処法について解説します。
東京弁護士会の『中小企業法律支援センター』から事例を引用し、まとめます。
運送会社A社(資本金2000万円)は、B社(資本金300億円。自らはトラックを持たず、荷主からの依頼を受けて、他の運送会社に貨物の運送を委託する事業者)から仕事を請け負い、指定の納期に運送を完了。
しかしB社は、取引先の都合を理由に、契約書上の支払期日を経過した後も報酬を支払わない。
何度催促してもB社が支払わないため、A者はやむを得ず中小企業庁に相談。
B社に中小企業庁の調査が入る。
B社からA社に対して、一方的に契約を解除すると通告。
B社が契約書上の支払期日経過後も報酬を支払わないことは、下請法で禁止される支払遅延に該当し、下請法4条1項2号に違反する可能性がある。
A社は、B社との業務委託契約書において、解除の根拠、契約上の解除条項の内容(解除事由や手続など)等を確認し、法律上や契約上、解除ができる場合に該当するのかを検討。
B社の一方的な解除通告に理由がない場合は、A社は「B社の解除が無効である」として、契約の継続を求めましょう。
B社が、A社が中小企業庁へ相談したことを理由に、一方的に契約を解除すると通告したことは下請法に違反する可能性がある。
下請法の前提として、下請法が適用されるか否かは、以下の2つの側面から判断される。
①取引当事者の資本金や出資の総額の区別
・3億円超、1千万円超3億円以下
・5千万円超、1千万円超5千万円以下
②取引の内容(製造委託、修理委託、情報成果物作成委託又は役務提供委託)
②:本件取引は「役務提供委託」に該当。
①:B社は資本金が3億円超、A社の資本金が3億円以下。
それぞれ親事業者、下請事業者の要件を充たしている。
したがって、本件取引には下請法が適用される。
以上の根拠から、A社は、B社の行為が下請法4条1項7号に違反することを指摘した上で、契約の継続を求めたり、B社が交渉に応じない場合は、再度調査・指導を求めて、公正取引委員会、中小企業庁や各経済産業局その他相談窓口へ相談しましょう。
本事例で、下請法が適用されない場合であっても、B社の行為は、優越的地位の濫用(独占禁止法2条9項5号ハ)を理由とする独占禁止法違反が認められる可能性があります。
報復措置への対応方法はいくつかありますが、予防策として最も有効な方法は、業務委託契約書や3条書面(下請法3条に基づき、委託内容、下請代金の額、支払期日や支払方法等が記載された書面)で、取引条件の変更や解除の条件や手続をしっかりと明記しておくこと。
業務委託契約書の作成・締結が重要
今回は、下請法で禁止する、親事業者の仕返し行為『報復措置の禁止』について解説しました。
このように、一方的な解除通知(報復措置)を受けた場合は、法律上や業務委託契約書の内容で解除可能か否かが判断されますので、解除条項を具体例に定めた業務委託契約書の作成・締結が有効な救済手段となります。
長年の取引関係から「うちは業務委託契約書なんていちいち交わしていないよ」という中小・零細事業者も少なくありませんが、是非この機会に業務委託契約書の作成し、また業務委託契約書を既に作成している事業者はその内容を見直してみることをお勧めします。
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