下請法ってどんな法律?フリーランスと業務委託契約書を交わすなら絶対に抑えるべき4つの契約

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ユキマサくん

下請法ってどんな法律なの?
フリーランスと業務委託契約書を交わす機会が多いからちょっと気になってさ。

純さん

下請法は立場の弱い個人や企業を守るための法律ですよ。
今回は下請法について分かりやすく解説しますね。

目次

下請法が制定された背景

下請法(下請代金支払遅延等防止法)は、1956年に制定されました。

当時は日本が高度経済成長期に突入した時期。

日本は急速成長する一方で、立場の強い大企業が立場の弱い中小企業に対して、不当に代金を減額したり、支払いを遅延させる様な事例が頻発していました。

そこで、親事業者が下請事業者に対して、不当な減額や支払いを遅延させることなどを禁止し、取引を公正化させて下請事業者の利益を保護しよう、という目的で作られたのが『下請法』です。

下請法はどんな法律?

下請法は、規模の大きい企業を「親事業者」、規模の小さい企業や個人事業主(フリーランス)を「下請事業者」と定義した上で、親事業者と下請事業者との間で、請負契約を締結する際に、親事業者が下請事業者に対して不当な要求をすることを禁止しています。

「親事業者」と「下請事業者」の立場は資本金で決まります。

資本金が3億円(親事業者)→3億円以下(下請事業者)

資本金が3億円以下(親事業者)→1,000万円以下(下請事業者)

独占禁止法との違い

自由経済社会で企業が守らなければいけないルールを定め、公正かつ自由な競争を妨げる行為を規制する法律として『独占禁止法』があります。

事実、下請法で禁止されている行為(代金の不当な減額要求など)は独占禁止法の優越的地位の濫用の規定でも禁止されています。

しかし独占禁止法の規定する優越的地位の濫用は、その内容が抽象的であるため、どの様な行為が優越的地位の濫用に抵触するのか分かりにくいのです。

一方、下請法は元請け事業者から下請事業者に対してどの様な要求が禁止されているのかが具体的に示されています。

下請法が適用される契約類型

実際に下請法が適用される場面は大きく4つ。

  1. 製造委託
  2. 修理委託
  3. 情報成果物の作成委託
  4. 役務の提供委託

どれも企業がフリーランスや個人事業主へ仕事を発注する機会の多い契約類型ですね。

これらの契約が、親事業者と下請事業者との関係当事者で締結される場合に下請法が適用されます。

これら4つの契約について詳しく解説します。

製造委託契約

製造委託契約とは、事業者が販売する食品や物品等の製造を、他の事業者に委託(アウトソーシング)する場合に交わす契約。 また、物品の製造を請け負っている会社が、その物品の製造の一部の工程だけをさらに外注先に委託する場合もあります。

製造委託契約書には、発注の方法や検収方法、納品した製品に欠陥があった場合の対処法など、取引の内容や想定されうるリスクを明確に定めておく必要があります。

修理委託

修理委託とは、事業者が業務として請負う物品の修理と他の事業者に委託すること。

物品の修理を請け負った事業者が、その修理の一部分だけをさらに他の事業者に委託することもあります。

契約書では、修理の完成の定義や納品後の補修の対応期間などを詳細に定めておく必要があります。

情報成果物の作成委託

情報成果物の作成委託とは、事業者が業として情報成果物の提供を行っている場合に、情報成果物の作成行為の全部または一部を他の事業者に委託すること。

情報成果物には、ソフトウェアなどのプログラムのほか、設計図やデザインなどが含まれます。

実際の契約書では、納品後のプログラムのバグの修正可能期間や、保守の可能範囲などを詳細に定めておく必要があります。

役務の提供委託

役務の提供委託とは、事業者が業務として行っている役務提供の一部を他の事業者に委託すること。

民法で規定されている雇用、請負、委任、寄託のほか、商法上の仲立、問屋、運送などのための契約がこれに該当します。

例えば、ビルメンテナンス業務を行っている会社が、エレベーターの点検作業だけを他の業者に委託する場合などがあります。

いわゆる『業務委託契約』の中でも「コンサルティング契約」はこの契約類型に該当します。役務の提供を業としているフリーランスや個人事業主は多いのではないでしょうか。

対象取引と資本金によって変わる事業者の範囲

親事業者と下請事業者の範囲

製造委託契約なのか修理委託契約なのか、情報成果物の作成委託契約なのか役務の提供契約なのかによって、原則として規制の対象となる親事業者と保護される下請事業者の範囲が異なります。

下記の表をご覧ください。

  • 物品の製造委託・修理委託
  • 情報成果物作成委託契約(プログラムの作成に限る
  • 役務提供委託(運送、物品の倉庫における保管と情報処理に限る
親事業者下請事業者
資本金が3億円を超えるの法人資本金が3億円以下の法人または個人事業者
資本金が1千万円え,3億円以下の法人資本金が1千万円以下の法人または個人事業者
親事業者と下請事業者の範囲
  • 情報成果物作成委託契約(プログラムの作成を除く
  • 役務提供委託(運送、物品の倉庫における保管と情報処理を除く
親事業者下請事業者
資本金が5千万円を超える法人資本金が5千万円以下の法人または個人事業者
資本金が1千万円を超え5千万円以下の法人資本金が1千万円以下の法人または個人事業者
親事業者と下請事業者の範囲

契約内容の判断基準

下請法には4つの契約類型があると説明しましたが、それぞれの取引の定義は非常に複雑です。

例えば、建設工事の請負工事には下請法は適用されず、建設業法が適用されます。これは建設工事の多くが重層的下請構造になっていることに関係してきます。

他にもホテル業者がベッドメイキングをリネンサプライ業者に委託する場合についても下請法の対象にはならないのです。

この様な実態をふまえて、公正取引委員会のホームページでは適用判断の具体例を明示しています。

Q12(専門家と顧問契約等)

一般に,企業と弁護士,公認会計士,産業医との契約も,本法の対象となるか。
A これらは,一般に企業(委託者)が自ら用いる役務であり,他者に業として提供する役務でないので,役務提供委託に該当せず,本法の対象とはならない。

Q14(自社ホームページの作成)

自社ホームページについて,一部を自社で作成し,残りの部分の作成を外注に出しているが,これは本法の対象となるか。

A 通常,ホームページは自社の宣伝のために使用するものであるので,自家使用する情報成果物に当たり,当該外注部分についてはそもそも自社で作成する能力がないような場合には,当該外注部分の作成を自社で業として行っているとは認められないことから,情報成果物作成委託に該当しない。

ただし,ホームページ上で有償提供するコンテンツ(画像等)の作成を他の事業者に委託する場合には,当該コンテンツは業として提供する情報成果物であることから,情報成果物作成委託(類型1)に該当し本法の対象となる。

これらのQ&Aは、公正取引委員会の「よくある質問コーナー」の載っています。
参考にしてみましょう。

まとめ

今回は、下請法の概要と抑えるべき4つの契約類型について解説しました。

業務委託契約においては、「役務提供契約」を締結する機会が非常に多いと思います。

フリーランスや個人事業主に仕事を発注する事業者様は、上記の契約類型と資本金の表を参考にしながら自社の外注が下請法に抵触するのかについて確認しておきましょう。

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