大企業のブランドロゴの威力は絶大だ。
子供であっても「TOYOTA」、「ENEOS」、「SoftBank」などのロゴを見れば、それが大きな企業であることは判断できる。
そして、平日の昼間にこれらの企業ロゴがプリントされた衣服を着ている人を見ると「あぁ大企業、または大企業と何らかの関わり合いのある企業で働いている人なのだろうなぁ」と感じてしまう。
これがブランディングの破壊力だ。
しかし大企業の支店や販売店は日本全国に点在していて、その全てがメーカー資本で運営されているわけではない。
実際は地場資本の中小・零細企業が大企業の看板を借りた代理店や特約店であることが多い。
「TOYOTA」の看板を掲げていても実際は、地場資本のサトウ自動車が、「ENEOS」はヤマダ石油、「Softbank」はタナカ通信、「Panasonic」はスズキ電気が運営していたりする。
そして言うまでもなく、地方の中小・零細企業の手取り額は絶望的に低い。
勤続20年を超える課長クラスでも20万円に毛が生えた程度で、事務員採用だと15万円前後だ。
何十年働こうが昇給なんて無いし、残業代だってまともに支払われないし、有給休暇もまともに申請できない。
『働き方改革』なんてあったもんじゃない。大手企業の様なフレックス制度やインターバル制度は皆無で「ナニソレ?美味しいの?」レベルだ。
しかし、その様な現実を目の当たりしながらも、会社を辞めない社員は意外に多い。
実際、私自身が某大企業の『販売店』で勤務していたので、勤続年数の長い社員になぜ会社を辞めないないのか?その理由を聞いたことがあるのだが、彼らの回答は概ね下記のとおりだった。
「ロクな仕事がない田舎で、大企業ブランド(の販売店)に就職できたからね」と。
この言葉を私なりに解釈すると「勤務先は田舎の中小・零細企業かつ低賃金であることは認めているが、対外的にはあたかも大手企業に勤務しているように見られるので、ある程度の心地良さを感じている」ということになる。
つまり、賃金よりも体外的な見栄や自尊心を重んじているのだ。
実際、企業ロゴが背中に大きくプリントされたジャンパーを敢えて着たまま昼休みにコンビニに弁当を買いに行く事務員や歓楽街に繰り出す営業職員も少なくなかった。
彼らは背中で大企業(の代理店・特約店)勤めであることを対外的にアピールすることに生き甲斐を感じている。
「みんな私の背中を見て!私はTO◯OTA,HO◯DAの社員(代理店)なのよ!」
合コンでも聞かれてもいないのに勤め先を言いたくて仕方がない。
「えっ?俺の仕事?一応ト◯タ(純正部品のドライバー)だけど」
人は自尊心が満たされると低賃金さえも気にならなくなるのだろう。
私はむしろ真逆で、在職中はずっと「大企業の名を借りた賃金の搾取だ」と憤っていた。
経営者からすると「おまえら対外的には大企業で働いている風に見られるのだから別に低賃金でもいいだろ?」と言われている様な気がしてならなかったのだ。
これは私の思い込みかもしれないが、某大企業の販売代理店・特約店が絶望的に低賃金であったことは紛れもない事実である。
【令和6年2月11日補記】
Xで以下のポストがバズっていた。
これを見た瞬間「これこそが大企業ブランドの名を借りた賃金の搾取」と思った。
新卒大卒の就職先として航空会社の客室乗務員は絶大な人気があるが、その賃金と雇用の実態は理想とはかけ離れていることはあまり知られていない。
例えばANN系LCCの『ピーチアビエーション』の客室乗務員の平均月給は約 19.0万円/月からで、賞与も各種手当一切ない。 福利厚生として、航空機の利用とbenefitがあるだけである。
雇用形態も有期雇用契約社員でスタートし、客室乗務員の辞令が発令されることでようやく正社員に切り替わる。
それでも人気が絶えないのは、航空会社の客室乗務員である自分を誇りに思うこと(これは素晴らしいこと)以上に対外的にマウントを取りたい想いの方が強いからだ。
台北の西門町あたりで「今日はフライトがないのでお気に入りのカフェでのんびり」とインスタに投稿して「いいね」が沢山欲しいだけだ。
『自尊心』はときに厄介だ。
自尊心は品位によってその一部を形成されるが、自身の品位を「保持」しようとし過ぎるあまり、品位が「誇示」へと変化する蓋然性を含んでいる。
品位の誇示は、優先順位が対外的な見栄やプライドに偏ってしまい、自分が低賃金である現実が霞んで見えてしまう。
結局のところ、人生をより良く生きるためには、幸せの尺度を[他者への見栄や他者との比較]ではなく、自分自身で設定する必要がある。
つまりこれからの時代は、無名の個人が企業のブランドに頼ることなく、たった1人でサバイブできる力を身に付けることが必要なのだ。
多くの大企業やメガバンクが早期退職者を常に募集している今、中小・零細企業勤めのあなたが大企業ロゴがプリントされたジャンパーを着てニチャァっと笑いながら飲みに繰り出している場合ではないことに早く気が付かなければならない。
自尊心が刺激され一時的には心地良いかもしれないが、一生低賃金であることは覚悟しなければならない。
現状を打破するために1番手っ取り早い方法は、会社員なんかさっさと辞めて独立起業することだ。
私は脱サラして行政書士(個人事業主)となったが、会社員と比較して生活は多少豊かになったし幸福度は100倍にアップした。
だから、現状に不満を抱いている会社員の方は是非とも脱サラ独立起業をお勧めする。
当記事を読んで少しでも会社員の働き方に危機感を覚えた方、独立起業を考えた方は以下の記事を参考にしてほしい。
脱サラや独立起業にむけて、何かヒントやキッカケが得られるはずだ。