【社内研修と著作権】外部講師・外部研修の資料を編集して自社で再利用しても著作権的に問題ない?

training-insourcing
ユキマサくん

毎年外部講師を招いて新入社員研修を実施しているけど、毎年内容が同じなんだよね。
もう昨年の資料を流用して自社だけで完結させようと思うんだけど、これって著作権的に大丈夫なの?

純さん

無断で流用するのは著作権侵害です。
しかし外部講師が資料の著作権を譲渡してくれれば自由に使えますよ。

毎年多くの企業が、外部講師を招いて社員研修を実施しています。

しかし、予算の制約や他の要因により、外部講師を招くことが難しい状況に直面することがあります。

そんな時、過去の研修資料を活用して自社で研修を実施したいと考えるのは自然なことでしょう。

しかし、ここで重要な問題が浮上します。それは、著作権法との兼ね合いです。

本記事では、外部講師の研修資料を再利用する際の著作権上の問題点と、その対処法について詳しく解説します。

研修の担当者や会社役員の方は、この機会に著作権に関する理解を深めましょう。

目次

著作権法の基本

まず、著作権法の基本を押さえておきましょう。

著作権法は、創作物の作者の権利を保護するための法律です。

研修資料も、それを作成した人(この場合は外部講師)の著作物として保護されます。

一言に「著作権」といっても、この権利は沢山の権利が一つの束になったものを指します。

著作権の一部
  1. 複製権:著作物を複製する権利
  2. 公衆送信権:著作物をインターネットなどで送信する権利
  3. 翻案権:著作物を改変する権利
  4. 上演権・演奏権:著作物を公に上演・演奏する権利

これらの権利は、原則として著作者に帰属します。

つまり、外部講師が作成した研修資料を使用する際は、これらの権利を考慮する必要があるのです。

外部講師の研修資料を再利用する際の注意点

では、具体的にどのような点に注意すべきでしょうか。

以下、重要なポイントを詳しく見ていきます。

1. 著作権の所有

まず確認すべきは、研修資料の著作権が誰に帰属しているかという点です。

通常、外部講師が作成した資料の著作権は講師側にあります。しかし、契約によっては著作権の譲渡や利用許諾が含まれている場合もあります。

チェックポイント

  • 昨年の契約書を確認し、著作権に関する記載があるかをする
  • 著作権の譲渡や利用許諾に関する条項があるか確認する

2. 使用許諾の範囲

次に、昨年の契約で資料の再利用や改変についての許可が含まれていたかどうかを確認します。

使用許諾の範囲は契約によって大きく異なる場合があります。

チェックポイント

  • 資料の再利用に関する明確な条項があるか
  • 使用期間や使用回数に制限がないか
  • 資料の改変や翻案が許可されているか

3. 改変の程度と翻案権

研修資料を「手直し」して使用する場合、それが著作権法上の「翻案」に該当する可能性があります。

翻案とは、原著作物を改変して新たな著作物を創作することを指します。

翻案権も著作者に属する権利であるため、無断で行うと著作権侵害になる可能性があります。

チェックポイント

  • 改変の程度が軽微(誤字脱字の修正程度)か大幅(内容の追加・削除・再構成)か
  • 改変後も元の著作物の本質的な特徴が維持されているか

4. 引用としての使用

資料の一部を引用として使用する場合は、適切な形式で行えば著作権侵害にはなりません。

ただし、引用の要件を満たす必要があります。

引用の要件

  1. 公表された資料であること
  2. 明瞭区分性
  3. 引用の目的上正当な範囲内であること
  4. 出典を明示すること
  5. 引用部分を改変しないこと

正しい引用方法については、以下の記事をご覧ください。

5. 二次利用の許可取得

最も確実な方法は、元の著作権者(外部講師)に直接連絡を取り、資料の再利用と改変(編集)の許可を得ることです。

著作権者(外部講師)が「再利用してもいいよ」と許可してくれれば何も問題ありません。

堂々と社内用に編集して、再利用ができます。

許可取得のプロセス

  1. 外部講師に連絡を取る
  2. 再利用の目的と範囲を明確に説明する
  3. 必要に応じて使用料を支払う用意があることを伝える
  4. 書面で許可を得る(メールでも可)

法的リスクを回避するための対応策

外部資料の文体を「です・ます調」を「だ・である調」に変えたり、スライドの資料の色やレイアウトを変更したところで著作権の侵害を免れることはできません。

著作権法違反のリスクを確実に回避するためは、以下の対応を検討することをお勧めします。

  1. 契約内容の確認
    昨年の契約書を詳細に確認し、資料の再利用に関する条項があるかどうかをチェックします。
    不明な点がある場合は、契約担当者や法務部門に相談しましょう。
  2. 外部講師への許可申請
    可能な限り、元の著作者である外部講師に連絡を取り、資料の再利用と改変の許可を求めます。
    この際、使用目的や改変の程度を具体的に説明し、必要に応じて使用料の支払いも検討します。
  3. 新規資料の作成
    許可が得られない場合や、法的リスクが高いと判断される場合は、過去の研修内容を参考にしつつ、新たな研修資料を自社で作成することを検討します。
    これにより、著作権の問題を完全に回避できます。
  4. 専門家への相談
    著作権法は複雑な分野であり、具体的な状況によって判断が異なる場合があります。法的リスクを最小限に抑えるためには、弁護士や著作に詳しい行政書士に相談することも一案です。

なお、外部講師が作成した資料であっても、法律条文や行政資料、公的な統計データは著作物には該当しませんので複製が可能です。

まとめ

今回は、社員研修の内製化を検討する会社向けに、外部講師の研修資料を自社で再利用する際の注意点について解説しました。

安易な再利用は法的リスクを伴う可能性があるため、今回解説したポイントは必ず抑えておきましょう。

  • 著作権の帰属先を確認する
  • 使用許諾の範囲を把握する
  • 改変の程度と翻案権の問題を考慮する
  • 引用の要件を満たしているか確認する
  • 可能な限り、著作権者から直接許可を得る

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著作権のお悩みを解決できる業界
  • エンターテインメント業界
    映画、音楽、テレビ番組の制作会社:コンテンツの制作・配信において著作権が重要なため、著作権侵害を防ぐための教育が不可欠。
    ゲーム業界:ゲーム開発やデザイン、音楽の使用において著作権が関連します。
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  • クリエイティブ業界
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    写真家、映像制作者:自らの作品の保護と、他者の作品の利用についての理解が重要。
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  • 教育・学術機関
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    研究者:研究成果や論文の著作権管理についての理解が求められます。
  • メディア・ジャーナリズム
    新聞社、テレビ局、オンラインメディア:記事や映像、写真の使用に関する著作権の取り扱いが非常に重要です。
  • Eコマース・マーケティング業界
    オンラインショップ運営者:他者の製品写真やレビュー、コンテンツの使用に関して著作権の知識が必要。
    ソーシャルメディアマーケティング:コンテンツのシェアや再利用に際して、著作権の理解が重要。
  • 人材育成・社員研修業界
    配布する研修資料自体の著作権に関する取扱いを定める必要があります。
    研修に用いるスライドにイラストや写真などの素材の利用に関して著作権の知識が必要。
対応可能な契約書類

商取引に関する契約書

  • 動産売買契約書
  • 土地売買契約書
  • 土地建物売買契約書
  • 継続的売買契約書
  • フランチャイズ契約書
  • 特約店契約書
  • OEM契約書
  • 販売代理店契約書
  • 秘密保持契約書(NDA)
  • 事業譲渡契約書
  • 企業主導型保育従業員枠共同利用契約書
  • M&Aアドバイザリー契約書
  • 継続的商品売買契約書
  • スポンサー契約書
  • 営業代行委託契約書

賃借に関する契約書

  • 建物使用貸借契約書
  • 建物賃貸借契約書
  • 定期建物賃貸借契約書
  • 定期借地権設定契約書
  • 事業用定期建物賃貸借契約書
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  • 金銭消費貸借契約書
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請負・業務委託契約書

  • 業務委託契約書
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  • 著作権譲渡契約書
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家族・近隣に関する契約書

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  • 境界確定契約書
  • 遺産分割協議書
  • 夫婦財産契約書
  • 任意後見契約公正証書
  • 通行地役権設定契約書
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