業務委託契約書(請負契約・基本取引契約)で印紙税は発注者と受注者どちらが負担する?

taxpayer
ユキマサくん

クライアントから「業務委託契約書に貼る収入印紙はユキマサくん(受注者)が貼るんだよ」って言われたんだけど本当かニャ?

純さん

実務上は、印紙税は契約当事者で折半するのが通常です。
今回は、業務委託契約書の印紙税をどちらが負担するのか、について解説します。

印紙税の判断は、税務署の職員の裁量により、実際の契約書の文言や契約の背景、契約当事者の意向などを総合に勘案し、個別具体的におこなわれます。
本記事の内容は、印紙税に関する一般的な内容であること、個別の契約書全てに該当するものではないことをご了承ください。

目次

実務上は印紙税は契約当事者が折半して貼る

印紙税法では、課税文書(契約書)の作成者が、納税義務者(収入印紙を負担する人)となる、と規定しています。

契約書を複数人で共同して作成した場合は、それら複数人で連帯して納税します。

『連帯して納税』とは、複数人の内、誰か一人が代表して納税、等分して納税、どちらでも大丈夫です。

税金を徴収する国の立場からすると「誰でもいいから、キッチリ耳を揃えて払ってくれよな」というニュアンス。

契約書は通常2通作成し、その2通それぞれに対して税金が課されます。

例えば、ある業務委託契約書に2万円分の収入印紙を貼る場合は、2通ありますので合計4万円。

国税庁としては、4万円もらえれば誰が負担しようが知ったこっちゃないということです。

とは言え、実際の契約場面では、印紙税は契約の当事者が折半しているのが通常です。

契約書の作成から印紙を貼る流れ

甲と乙間にて、業務委託契約を締結→書面を作成→印紙を貼る→相手に渡す。

この一連の過程について解説します。

STEP
業務委託契約を締結

甲と乙、いずれかが業務委託契約書を作成(仮にここでは甲が作成とする)

STEP
甲と乙、双方でリーガルチェック

問題が無ければ、甲が2通の契約書の自分の記名欄に押印、1通だけ印紙を貼り、消印をして、2通を乙に渡す

STEP
乙が残りの1通に印紙を貼る

乙は、甲から渡された2通の業務委託契約書の当事者欄の自分の記名欄に押印、印紙と甲の消印がある契約書に自分の消印を押し、自分で保有。
もう1通の契約書に乙が印紙を貼り→消印を押し→甲に渡す

国は印紙を貼る必要はなし

官公庁が主体のプロジェクトでは、国(県市町村)が契約相手となる場合があります。

このとき、業務委託契約書2通の内、自分が保有する1通には印紙が貼れられていなくても問題ありません。

印紙税法では「国、地方公共団体等(国等)が作成した文書は非課税文書とする」と定められているからです。

そもそも税金は国に収めるものなので、国が自分で印紙を購入しても意味がない(タコが腹が減って自分の足を食べるようなもの)のです。

また、印紙税法では「国等とそれ以外の者が課税文書を共同で作成した場合には、国等が保有する文書は国楽以外の者がさくせいしたものとみなし、国等以外の者が保有する文書は国等が作成したものとみなす。」と定めています。

要約すると下記の通り。

  • 国等が保有する契約書は企業が作成したものとみなす
  • 企業が保有する契約書は国等が作成したものとみなす
  • 企業側が保有する業務委託契約書(請負契約書)は2号文書だから、その契約書を作成した企業は印紙を貼る義務がある
  • 企業側が保有する業務委託契約書(請負契約書)は2号文書だけど、国等が作成したもの=非課税文書だから、国等は印紙の貼付は不要

したがって、国等と企業との間で業務委託契約書を締結する場合、実務上は下記のようになります。

国等が契約書を用意した場合

国等が業務委託契約書を用意した場合、

  1. 国等が契約書を2通作成
  2. 国等が2通に記名捺印
  3. 国等が2通を企業に渡す
  4. 企業は、印紙が貼られていない2通の契約書に記名捺印
  5. そのうち1通に印紙を貼る
  6. 消印を押す
  7. 国等に渡す

企業側が契約書を用意した場合

企業側が契約書を用意した場合は、

  1. 企業が契約書を2通作成
  2. 2通に自社の記名捺印
  3. その内の1通に印紙を貼る
  4. 消印を押す
  5. 2通を国等に渡す
  6. 国等はそれら2通の契約書に記名捺印
  7. 印紙が貼られていない方を企業に渡す

まとめ

今回は業務委託契約書において、発注者と受注者、どちらが収入印紙を貼るのかについて解説しました。

・実務上は、折半して貼る
・国等との契約では、国等は負担する義務はない

この2点を抑えておきましょう。

フリーランス・個人事業主の方は、立場が弱く、企業側から一方的に印紙税の負担を課せられるケースも少なくありませんので、特に注意してください。

また、契約書に貼るべき印紙を貼っておらず、後日発覚した場合は過怠税の対象となることも合わせて覚えておきましょう。

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