イラストやウェブサイト制作、フォトグラファーやライターなど、フリーランスのクリエイターとして働く人は年々増加傾向にありますが、著作権に関するトラブルも比例して増えております。
クリエイターと企業との間で著作権を取り巻く代表的なトラブル
- 自分が納品したイラストを基にクライアントがグッズを制作販売したところ、そのイラストが第三者の著作権を侵害しているとして指摘があった
- コンペに写真を提出したが落選、後日コンペ先が無断で自分の作品を利用していた
- クライアントに納品したデータが、無断で改変されて第三者へ渡っていた
これらのトラブルが起こる原因は、クリエイターとクライアントとの間で『契約書』を交わしていないから。
「いやいやうちはクリエイターさんに仕事を発注する時はいつも発注書や契約書を交わしているよ」という企業でも、一番重要な『著作権に関する条項』が抜けているケースも少なくありません。
これは著作権法独特のとっつきにくさが起因しているのではないかと思います。
実際著作権については「なんとなくは知っているつもりだが、人に説明できるほど理解していない」という人がほとんどではないでしょうか。
しかし著作権法には刑事罰の適用もありますので、知識が曖昧なまま契約を結ぶのは大変危険です
また納品先のクライアントから多額の損害賠償請求をされるケースもありますので、著作権に関する最低限の知識は身に付けておく必要があります。
本記事では、著作権に関する基本的な知識と、契約書の著作権条項の中で絶対に抑えておきたいポイントについて解説します。
著作権とは
著作権とは
「著作権」とは、著作物を作った人(著作者)に与えられる、自分が創作した著作物を無断でコピーされたり、インターネットで利用されない権利のことを指します。
他人があなたの著作物を利用したいときは、権利が制限されている場合を除き、クリエイターであるあなたは条件を付けて利用を許可または拒否できます。
なお著作権と似ている紛らわしい権利に『知的財産権』というものもあります。
「知的財産権」とは、知的な創作活動によって何かを創り出した人に対して付与される、他人に無断で利用されない権利のことを指します。
つまり、知的財産権という大きな箱の中に著作権という権利が含まれるイメージです。
著作物とは
世の中のあらゆる創作物が著作権で保護されているわけではありません。
例えば、東京スカイツリーを写真に撮ってSNSに載せても、それは著作権の侵害にはあたりません。
これは著作権法46条で「一定の場合を除き一般公衆に解放されている屋外の場所に恒常的に設置されているものは利用することができる(ここでは写真を撮ってSNSに載せること)」と規定しているからです。
このように著作権法は、一般人の行動を過度に制約し過ぎないような規定を設けています。
以上を踏まえて、著作権の対象となるものを例示します。
一般の著作物
著作物の種類 | 著作物の例 |
---|---|
言語の著作物 | 講演、論文、レポート、作文、小説、脚本、詩歌、俳句など |
音楽の著作物 | 楽曲、楽曲を伴う歌詞など |
舞踊、無言劇の著作物 | 日本舞踊、バレエ、ダンス、舞踏、パントマイムの振り付け |
美術の著作物 | 絵画、版画、彫刻、マンガ、書、舞台装置、茶碗、壺、刀剣等の美術工芸品 |
建築の著作物 | 芸術的な建築物 |
地図、図形の著作物 | 地図、学術的な図面、図表、設計図、立体模型、地球儀など |
映画の著作物 | 劇場用映画、アニメ、ビデオ、ゲームソフトの映像部分などの「録画されている動く影像」 |
写真の著作物 | 肖像写真、風景写真、記録写真など |
プログラムの著作物 | コンピュータ・プログラム |
(注)著作物として保護されるためには、「映画の著作物」を除き、「固定」(録音、録画、印刷など)されている必要はありませんので、「原稿なしの講演」や「即興の歌」なども保護の対象となります。
二次的著作物
二次的著作物とは、漫画を「映画化」したものや、既存の楽曲を「編曲」したものなどが該当します。
(注)二次的著作物の創作には、原作の著作者の了解が必要です。
また、第三者が二次的著作物を利用する場合は「二次的著作物の著作者」と「原作の著作者」両者の了解を得ることが必要です。
編集著作物とデータベースの著作物
新聞、雑誌のような「編集物」のうち、どのようなものを選択し、どのような順序で配列するかといった点について創作性があるものは、そこに収録されている個々の著作物とは別に、全体として「編集著作物」として保護されます(第12条)。
また、コンピュータで検索できるものを「データベースの著作物」といいます。
共同著作物
2人以上の者が共同して創作した著作物であって、その人たちが寄与した分を切り離して個別に利用できないものを「共同著作物」と呼びます。
誰がどの部分を執筆したのか判別が付かない場合などがこれに該当します。
契約書の著作権条項で絶対に抑えておきたいポイントは2つ
クリエイターであるあなたがクライアントと契約書を交わす際『著作権条項』は要注意。
著作権条項には、納品した創作物(データを含む)の著作権を、自分とクライアントのどちらに帰属させるのか?について定めている重要な部分だからです。
著作権をクライアントに譲渡する場合は、一般的には下記のような条項が明記されています。
第〇条(著作権の帰属)
1 成果物に関する一切の著作権(著作権法27条及び28条の権利を含む)は、検収完了時に乙から甲に移転する。
2 乙は、甲に対し、成果物の著作者人格権を行使しないものとする。
著作権法27条及び28条の権利
著作権法27条の権利とは、「翻訳、編曲、変形、脚色、映画化、その他翻案」できる権利、簡単に言えば「著作物に変更を加えたりできる権利」のこと。
著作権法28条の権利とは、著作物の「二次的著作物」を利用することができる権利を指します。
(例)漫画をアニメ化する
(例)小説を映画化する
つまり「クライアントにデータなどの著作物を送信した時点で、著作権はクライアントに移行しますよ」と書いてあるのです。
著作権がクライアントに移行してしまうと、以後クリエイターであるあなたは、クライアントがあなたの創作物を勝手に修正しても文句は言えませんし、例えばクライアントが創作物をアパレル化して販売、そこで巨額の収益を挙げても売り上げを請求できなくなります。
著作者人格権を行使しない
なお「成果物の著作者人格権を行使しない」とは、クリエイターが著作権の譲渡先であるクライアントに対して「私は著作者人格権を行使しません」と約束することです。著作者人格権の不行使条項とも呼ばれます。
まず『著作者人格権』には以下の3つの権利が認められています。
公表権 (第18条第1項) | 自分の著作物で、まだ公表されていないものを公表するかしないか、公表するとすれば、いつ、どのような方法で公表するかを決めることができる権利 |
---|---|
氏名表示権 (第19条第1項) | 自分の著作物を公表するときに、著作者名を表示するかしないか、表示するとすれば、実名、変名のいずれを表示するかを決めることができる権利 |
同一性保持権 (第20条第1項) | 自分の著作物の内容又は題号を自分の意に反して勝手に改変されない権利 |
そして最後にもう一つ「名誉声望を害する方法での利用を禁止する権利(著作権法第113条11項)」があります。
例えば、クリエイターが自分の作品を「パチンコ業界の広告には利用されたくない!」と声望するような、内心を主張するようなケースです。
なぜこの権利だけが別枠扱いなのかというと、これだけは権利として法律で規定されていないからです。
しかし第4の権利『名声声望権』として呼ばれることがありますので、プラスアルファの権利として別枠で記載しています。
以上をまとめると、著作者人格権とは「著作者の心の中のこだわりを保護する権利」とも言えます。
なおこれら著作者人格権という権利は、人に渡すことができません。
権利を渡すことができない以上、契約書で相手方が「著作者人格権を行使しないこと」を合意することでトラブルの防止を図っているのです。
クリエイターは自分の身を自分で守る努力が必要
今回は著作権に関する基本的な知識と、契約書の著作権条項の中でも絶対に抑えておきたいポイント2つを解説しました。
契約書の著作権条項は重要です。
著作権を譲渡するのかしないのか、クリエイターはこの点をしっかりと理解したうえで契約書を交しましょう。
インターネットの普及により自分の作品を世界中の人に見てもらうことが容易になった反面、著作権侵害について目を光らせる人も増えました。
自分自身が著作権について正しい知識を身に着け、無用なトラブルから身を守れるようにしておきましょう。
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