先日、うちの社員が外部研修を受講して資料を持ち帰ったんだよね。
この資料が凄く良かったから社内でシェアしようと思うんよ。
著作権とかコンプライアンス的に問題ないのかな?
研修でもらった資料は一般的には著作物に該当するので、無断複製は著作権の侵害にあたりますよ。
それでも取り扱い方法によってはセーフな場合もあります。
今回は外部資料をどこまで社内でシェアしてよいかを解説します。
人材育成の一環として、社員を外部研修へ参加させることは重要です。
しかし、研修で得た資料の取り扱いには慎重な配慮が必要です。
特に、これらの資料を社内で共有する際には、著作権法やコンプライアンスの観点から注意すべき点が多々あります。
今回は、外部研修資料を社内で共有する場合の重要な事項と、安全な対応策について詳しく解説します。
社内共有が絶対的にNGなケース
外部研修でもらった資料を社内共有するのが絶対に許されないケースがいくつか存在します。
機密情報や秘密保持契約(NDA)の対象となる資料
研修内容に機密情報が含まれている場合や、研修提供者との間に秘密保持契約が締結されている場合、その資料の社内共有は厳禁です。
このような情報の流出は、法的責任を問われるだけでなく、ビジネス関係にも重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
明示的な禁止事項がある場合
研修資料や契約書に「社内共有禁止」「複製・配布禁止」などの文言が明記されている場合は、それに従わなければなりません。
これらの制限を無視することは、契約違反となり得ます。
有料のオンラインコースや電子書籍の資料
多くの有料のオンラインコースや電子書籍は、個人使用に限定されたライセンス契約の下で提供されています。
これらの資料を社内で共有することは、ライセンス契約違反になる可能性が高いです。
著作者の経済的利益を著しく損なう場合
例えば、高額な研修プログラムの全内容を社内で共有することで、他の社員が同じ研修を受ける必要がなくなるような場合です。
こんなことをされては研修会社や講師の売上げが減ってしまいますよね。
著作権者の潜在的な収益を直接的に減少させる行為とみなされる可能性があります。
個人情報を含む資料
研修中に他の参加者の個人情報が含まれる資料を入手した場合、それを社内で共有することは個人情報保護法違反となる恐れがあります。
個人情報の取り扱いには特に注意が必要です。
ライセンス契約で明確に禁止されている場合
ソフトウェアやデータベースの使用に関する研修では、ライセンス契約により複製や共有が明確に禁止されていることがよくあります。
このような制限を無視すると、重大な法的問題を引き起こす可能性があります。
例外的に共有が許容されるケース
どうしても社内でシェアしちゃダメなの?
特定の条件下では外部研修資料の社内共有が許容される場合もありますよ。
私的複製と同一視できる範囲内でのシェア
著作物は私的使用の範囲内であれば複製しても問題ないとされていますが、社内共有は私的とは言えません。
しかしケースによっては「この程度なら私的複製みたいなもんだよね」と認められることもあります。
例えば、外部研修を受講した社員が上司に報告書を提出するケース。
「こんな研修を受講してきました」と言って、資料の一枚をメールに貼付することもあると思います。
また、営業部の部長が新入社員に研修資料の一枚をスキャンしてシェア。
「この好事例を参考に販路拡大に活かしてくれ」というようなケースも私的複製と同一視できるといえるでしょう。
研修会社や講師が使用を許可している
研修の提供者が「資料を社内でシェアしてもいいですよ」と明示的に許可している場合は、その許可の範囲内で共有することができます。
ただし、許可の内容(共有の範囲、期間、方法など)を正確に理解し、遵守することが重要です。
引用の範囲内での使用
著作権法では、公正な慣行に合致し、報道、批評、研究などの引用の目的上正当な範囲内であれば、著作物の一部を引用することが認められています。
ただし、出典を明記し、引用部分を明確に示す必要があります。
正しい引用方法については、以下の記事をご覧ください。
著作権の保護期間が満了している資料
著作権の保護期間(原則として著作者の死後70年)が満了している資料は、自由に利用することができます。
ただし、古い資料でも編集や注釈が加えられている場合は、それらの部分に新たな著作権が発生している可能性があるので注意が必要です。
安全な対応策
外部研修でもらった資料の取り扱いに関しては、以下のような安全な対応策を講じることをお勧めします。
研修提供者へ確認する
資料の社内共有について不明な点がある場合は、研修提供者に直接確認することが最も確実な方法です。
共有の可否、範囲、条件などについて明確な回答を得られれば、不必要なリスクを回避できます。
知識共有の代替手段を検討する
研修を受けた社員が口頭で知識を共有したり、著作権を侵害しない範囲で要点をまとめた資料を作成するなど、直接的な資料共有以外の方法を検討することも有効です。
これにより、貴重な学びを組織内で広げつつ、法的リスクを回避することができます。
社内研修の実施や追加ライセンスを購入する
外部研修の内容が組織にとって特に重要である場合は、同様の研修を社内で実施することを検討してみましょう。
あるいは、必要に応じて追加のライセンスを購入し、適切な形で社内共有を行うことも選択肢の一つです。
現在は、ネットで様々な研修や動画セミナーを購入することができます。
明確なガイドラインを策定・周知する
組織として、外部研修参加時の資料取り扱いに関する明確なガイドラインを策定し、全社員に周知することが重要です。
これにより、法的リスクを予防します。
近年コンプライアンス遵守の意識はますます高まっていますので、研修資料にかかわらず、様々な資料の取り扱いに関してガイドラインを策定することは必須といえるでしょう。
法務部門や顧問弁護士、著作権に詳しい行政書士への相談
著作権法や契約に関する複雑な問題については、社内の法務部門や顧問弁護士に相談することをお勧めします。
しかし中小企業ではこのような部門がなかったり、顧問弁護士がいないことは多いです。
この場合はスポットで専門家の助言を得ることで、法的リスクを最小限に抑えることができます。
またあまり知られていませんが、行政書士も著作権に関する相談にのったり、著作権が絡む契約書を作成することができます。
報酬こそ発生しますが、社員が著作権を侵害し会社が罰則を受けるリスクを考慮すると、専門家に外注した方が安心確実です。
まとめ
今回は、社員が外部研修で持ち帰った資料をどこまでシェアしてよいか?について、著作権法とコンプライアンスの観点から解説しました。
安易な社内共有は法的リスクを伴うだけでなく、組織の信頼性にも影響を与える可能性があります。
しかし、せっかく安くない経費をつかって社員に研修を受講してもらうのですから、適切な方法で資料を共有できれば会社にとっては有益ですよね。
経営層やコンプライアンス部門の責任者は、著作権に関する正しい知識を用いて、外部研修受講の効果を最大限に引き出しましょう。
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映画、音楽、テレビ番組の制作会社:コンテンツの制作・配信において著作権が重要なため、著作権侵害を防ぐための教育が不可欠。
ゲーム業界:ゲーム開発やデザイン、音楽の使用において著作権が関連します。
出版業界:書籍、雑誌、電子書籍の著作権管理やライセンスが必要。 - クリエイティブ業界
広告業:広告やデザインの制作に関して、第三者の著作物を適切に使用するための知識が必要。
グラフィックデザイン、ウェブデザイン:画像やフォントなどの素材の著作権を理解し、正しく利用するために教育が求められます。
写真家、映像制作者:自らの作品の保護と、他者の作品の利用についての理解が重要。 - IT・テクノロジー業界
ソフトウェア開発者:ソフトウェアのライセンスやコードの使用に関して、著作権やオープンソースライセンスの知識が不可欠。
プラットフォーム運営者:ユーザー生成コンテンツの管理に関して、著作権侵害を防ぐ責任が求められます。 - 教育・学術機関
学校・大学:教育現場で使用する教材や学術論文の著作権を適切に扱うため、教員や学生に対する著作権教育が重要。
研究者:研究成果や論文の著作権管理についての理解が求められます。 - メディア・ジャーナリズム
新聞社、テレビ局、オンラインメディア:記事や映像、写真の使用に関する著作権の取り扱いが非常に重要です。 - Eコマース・マーケティング業界
オンラインショップ運営者:他者の製品写真やレビュー、コンテンツの使用に関して著作権の知識が必要。
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