【クリエイター必読】著作権の侵害が認められるための2つの要件と著作権侵害を避ける方法を解説。

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ユキマサくん

他人の著作権を侵害すると罰則があるのは知っているけど、そもそもどんな行為が著作権の侵害にあたるのかな?

純さん

著作権を侵害していると認められるためには、『依拠性』と『類似性』2つの要件が必要ですよ。

映像コンテンツやイラスト、脚本やゲームなど日々多くの著作物を創作しているクリエイターにとって、著作権の侵害については他人事ではないですよね。

自分の作品を守りつつ、また知らずに他人の権利を侵害してしまわないためにも、著作権侵害の要件と罰則については正しい知識が必要です。

しかし実際、どんな行為が著作権侵害にあたるのかを正しく理解している方は少ないのではないでしょうか?

そこで今回は、著作物を侵害していると認められるための2つの要件について解説します。

目次

著作権侵害の罰則:軽視できない重大性

まず、著作権侵害がどれほど深刻な問題なのか、その罰則から見ていきましょう。

著作権法では、著作権侵害に対して民事上の措置と刑事罰の両方が定められています。

民事上の措置

  1. 差止請求:侵害行為の停止や予防を求めることができます。
  2. 損害賠償請求:侵害によって被った損害の賠償を請求できます。
  3. 名誉回復等の措置:著作者の名誉を回復するための措置を請求できます。

刑事罰

10年以下の懲役または1000万円以下の罰金、またはその両方(著作権法119条1項)

これらの罰則を見ると、著作権侵害が決して軽い問題ではないことがわかります。

特に、懲役刑が科される可能性があることは、私たちクリエイターにとって非常に重要な点です。

また、罰金額の大きさも見逃せません。実際フリーランスのクリエイターにとっては数万円、数十万円の罰則でも致命的な打撃となることは間違いないでしょう。

しかしここで注意したいのは、これらの罰則が適用されるのは「故意」による侵害の場合だということです。

つまり、意図的に他人の著作権を侵害した場合に限られます。

とはいえ、「知らなかった」では済まされないケースも多いので常に注意を払う必要があります。

著作権侵害と認められる2つの要件

では、どのような場合に著作権侵害と認められるのでしょうか?

日本の著作権法では、著作権侵害を立証するために主に2つの要素が重要視されています。

それが「類似性」と「依拠性」です。

1. 類似性

類似性とは、侵害が疑われる著作物が、原著作物と実質的に似ているかどうかを示す要素です。

ここで重要なのは、単に題材やアイデアが似ているだけでは不十分で、創作的な表現の部分で類似している必要があるという点です。

類似性が高いと判断される例

Bさんの「星明かりの誓い」が、Aさんの「月光の約束」と以下の点で酷似しているとします。

  • 主人公の名前や性格が非常に似ている
  • ストーリーの展開が同じで、特徴的なシーンがほぼ同一
  • 独特の比喩表現や台詞が多数一致している

この場合、創作的な表現の部分で高い類似性が認められ、著作権侵害の可能性が高くなります。

類似性が低いと判断される例

Dさんが「満月の誓約」という小説を書いたとします。

月と約束というテーマは似ていますが、

  • キャラクター設定が全く異なる
  • ストーリー展開が独自である
  • 文体や表現方法に独自性がある

この場合、テーマは似ていても創作的な表現部分での類似性が低いため、著作権侵害とは認められにくいでしょう。

2. 依拠性

依拠性とは、侵害者が原著作物に接する機会があり、それを参考にした可能性があることを示す要素です。

言い換えれば、「オリジナルの作品を知っていて、それを基に新しい作品を作った」ということを証明する必要があります。

ここで重要なのは、直接的な証拠がなくても、状況証拠から依拠性が推定されることもあるという点です。

依拠性が高いと判断される例

人気小説家Aさんのベストセラー「月光の約束」という小説があるとします。

新人作家Bさんが、Aさんの「月光の約束」を読んでいた事実がSNSの投稿で確認されました。

その後、Bさんが似たようなプロットの小説「星明かりの誓い」を出版しました。

この場合、BさんがAさんの作品にアクセスしていた明確な証拠があるため、依拠性が高いと判断される可能性が高いです。

依拠性が低いと判断される例

一方、外国人のCさんがAさんの小説と似た内容の「夜空の契り」という小説を書いたとします。

しかし、Cさんは海外在住で日本語が読めません。また、Aさんの作品を読んだ形跡も全くありません。

この場合、CさんがAさんの作品にアクセスした可能性が低いため、依拠性が低いと判断される可能性が高いです。

著作権侵害を判定する2ステップ

画像引用:文化庁令和5年度著作権セミナー「AIと著作権」

前述の通り、著作権侵害は『類似性』と『依拠性』の2つが認められる場合に認められます。

そしてこれ2つの判断基準は以下の順番で確認します。

STEP
類似性の判断

他人の著作物と同一であるか?似ているか?

STEP
依拠性の判断

既存の著作権に接して、それを自己の作品の中に用いているか(独自創作等でないか)?

まず類似性が認められ、次に依拠性が認められた場合は、著作権侵害と判決されます。

クリエイターとして心がけるべきこと

これらの要件を踏まえて、私たちクリエイターはどのように行動すべきでしょうか?

以下に、いくつかのポイントをまとめてみました。

他人の作品を参考にする際は細心の注意を払う

単にインスピレーションを得るのは問題ありませんが、具体的な表現や構成をそのまま真似ることは避けましょう。

自分の作品の独自性を意識する

たとえ似たテーマやジャンルであっても、独自の視点や表現方法を追求することが大切です。

引用や参照を適切に行う

他人の作品を引用する場合は、出典を明記し、引用部分を明確にしましょう。

正しい引用方法については以下の記事をご覧ください。

著作権に関する知識を常にアップデートする

法律や判例は変わることがあります。定期的に最新の情報をチェックしましょう。

少しでも疑問がある場合は専門家に相談する

グレーゾーンだと感じた場合は、著作権に詳しい行政書士や弁護士に相談することをおすすめします。

まとめ:創作の自由と他者の権利の尊重のバランスが重要

今回は、著作物を侵害していると認められるための2つの要件について解説しました。

著作権侵害の問題は、私たちクリエイターにとって大変重要なテーマです。

しかし、だからといって萎縮してしまっては本末転倒。

大切なのは、自分の創作の自由を保ちつつ、他者の権利も尊重するバランス感覚を持つことです。

依拠性類似性という2つの要件を理解し、常に意識しておくことで、不必要なトラブルを避けつつ、自由に創作活動を行うことができるはずです。

また、これらの知識は、万が一自分の作品が侵害された場合にも役立ちます。

創作活動は、既存の作品から影響を受けつつも、そこに新たな価値を付け加えていく営みです。

他者の権利を尊重しながら、自分らしい独創的な作品を生み出していく。

そんなクリエイティブな姿勢こそが、私たちに求められているのではないでしょうか。

皆さんの創作活動が、より豊かで実り多いものになることを願っています。

そして、この記事が皆さんのクリエイティブな挑戦の一助となれば幸いです。

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著作権を取り扱う業界
  • エンターテインメント業界
    • 音楽業界
      作詞作曲家、アーティスト、レコード会社、音楽プロデューサーなどは楽曲の著作権を扱います。楽曲の作成から、販売、配信、ライセンス契約、著作権使用料の管理まで、著作権が関わる局面が多いです。
    • 映画・映像業界
      映像クリエイター、脚本家、監督、映画制作会社は映画やテレビ番組、CMなどで著作権を取り扱います。映像作品には音楽、脚本、映像のすべてが絡むため、複数の著作権が一つの作品に結びつきます。
    • ゲーム業界
      ゲーム開発者やデザイナー、プログラマーなどが創作するキャラクター、ストーリー、音楽などは著作物です。特にオンラインゲームやモバイルゲームの世界では、著作権とライセンスの管理が重要です。
  • 出版業界
    • 書籍・雑誌
      小説家やエッセイスト、出版社は、テキストやイラスト、写真といった著作物を取り扱います。出版物の著作権管理やライセンス契約、翻訳権の取り扱いなどが日常業務の一部です。
    • ライター・編集者
      雑誌やウェブメディアのライターや編集者は、執筆や編集にあたり、他の著作物を引用したり、著作権を持つコンテンツを取り扱うため、著作権の知識が必要です。
  • 広告・マーケティング業界
    • 広告代理店・クリエイティブエージェンシー
      広告のコピー、デザイン、動画や写真などのクリエイティブ作品は著作物であり、広告キャンペーンで他者の著作物を利用する際は、権利処理が必要です。また、著作権やパブリシティ権の侵害に注意しなければなりません。
    • デザイナー・アートディレクター
      グラフィックデザイン、Webデザイン、プロダクトデザインを手がけるクリエイターは、自身の作品の著作権を守るだけでなく、他者の著作物の使用における権利関係の管理も重要です。
  • メディア業界
    • テレビ局・ラジオ局
      番組制作において、音楽や映像、写真、テキストなど多様な著作物が使われます。特に放送する際の許諾や使用料の支払い、権利処理が重要な課題となります。
    • 新聞社・オンラインメディア
      記事や写真、イラストなどのコンテンツは著作物です。また、他社の著作物を引用する際には著作権法を遵守する必要があります。
  • IT・ソフトウェア業界
    • ソフトウェア開発者
      プログラムコードそのものが著作物であり、ソフトウェアのライセンス契約やオープンソースの利用には著作権の知識が不可欠です。
    • アプリ開発
      アプリのUI/UXデザインやコンテンツ(音楽、画像、文章など)にも著作権が関わり、第三者の著作物を利用する際の権利処理が必要です。
  • 教育・研究機関
    • 大学・研究機関
      教材や論文、研究データも著作物として保護されます。また、他者の研究成果を引用する際は、著作権法に基づいた適切な扱いが求められます。
    • 教育コンテンツ制作
      教材、Eラーニングコンテンツ、出版物などは、著作権の対象となり、適切な権利処理が必要です。
  • アート業界
    • 美術館・ギャラリー
      絵画、彫刻、写真、インスタレーションなどはすべて著作物として保護され、美術館やギャラリーで展示や販売する際に著作権の管理が関わります。
    • アーティスト・イラストレーター
      自分の作品の著作権を管理するだけでなく、クライアントワークやライセンス契約における権利の保護が大切です。
  • ファッション業界
    • デザイナー
      ファッションデザインやロゴデザイン、アクセサリーデザインも著作権で保護されることがあります。特にブランドやパターンの模倣・コピーの問題が発生しやすく、著作権管理が重要です。
  • 人材育成・社員研修業界
    • 研修会社・研修講師
      配布する研修資料自体の著作権に関する取扱いを定める必要があります。
      研修に用いるスライドにイラストや写真などの素材の利用に関して著作権の知識が必要です。
対応可能な契約書類

商取引に関する契約書

  • 動産売買契約書
  • 土地売買契約書
  • 土地建物売買契約書
  • 継続的売買契約書
  • フランチャイズ契約書
  • 特約店契約書
  • OEM契約書
  • 販売代理店契約書
  • 秘密保持契約書(NDA)
  • 事業譲渡契約書
  • 企業主導型保育従業員枠共同利用契約書
  • M&Aアドバイザリー契約書
  • 継続的商品売買契約書
  • スポンサー契約書
  • 営業代行委託契約書
  • デジタルサイネージ広告掲出契約書(約款)

賃借に関する契約書

  • 建物使用貸借契約書
  • 建物賃貸借契約書
  • 定期建物賃貸借契約書
  • 定期借地権設定契約書
  • 事業用定期建物賃貸借契約書
  • 駐車場賃借権契約書
  • 社宅借り上げ契約書

賃金と担保に関する契約書

  • 債権譲渡契約書
  • 金銭消費貸借契約書
  • 抵当権設定契約書
  • 代物弁済契約書
  • 準消費貸借契約書
  • 集合動産譲渡担保契約書
  • 質権設定契約書

請負・業務委託契約書

  • 業務委託契約書
  • 建設工事請負契約書
  • 不動産管理委託契約書
  • コンサルタント契約書
  • システム開発契約書
  • 営業委託契約書
  • ヘアーサロン美容師業務委託契約書
  • ヘッドスパセラピスト業務委託契約書
  • ネイリスト業務委託契約書
  • アイリスト業務委託契約書
  • ヘアサロン・美容室面貸し契約書
  • ヨガ・ダンス教室業務委託契約書
  • 給食提供業務委託契約書
  • 訪問歯科医療委託契約書
  • 動画制作業務委託契約書
  • 声優・ナレーター動画出演委託契約書
  • ライター業務委託契約書
  • 脚本(シナリオ)執筆委託契約書
  • SNS運用代行契約書
  • 動画・舞台出演契約書
  • コールセンター業務委託契約書
  • システム・機械保守メンテナンス契約書
  • セミナー・講演会・出演契約書
  • イラスト制作業務委託契約書
  • 写真家・フォトグラファー業務委託契約書
  • ダンス・舞踊創作の委託契約書
  • デリヘル店業務委託契約書
  • マッサージ、リラクゼーションサロン業務委託契約書
  • レンタル彼女キャスト業務委託契約書
  • オンライン事務(バックオフィス)代行サービス業務委託契約書
  • 社員研修講師委託契約書
  • 研修の外部講師との業務委託契約書
  • 音楽教室の講師業務委託契約書
  • 料理教室の講師業務委託契約書

労働に関する契約書

  • 雇用契約書
  • 労働者派遣基本契約書
  • 入社・退社誓約書
  • 身元保証契約書
  • 出向契約書
  • 専属マネジメント契約書
  • 著作権譲渡契約書
  • 著作権利用許諾契約書

家族・近隣に関する契約書

  • 贈与契約書
  • 死因贈与契約書
  • 境界確定契約書
  • 遺産分割協議書
  • 夫婦財産契約書
  • 任意後見契約公正証書
  • 通行地役権設定契約書
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