コンサルティング契約書を作成・締結するときに気を付ける7つのポイントを解説

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ユキマサくん

わが社の営業利益改善を目的として、来月からコンサルティングを依頼することになったんだけど、相手方から提示された契約書に自社に不利な内容が書いてないか不安だニャあ。

純さん

分かりました。
それでは今回はコンサルティング契約書を締結するときに気を付けるポイントを解説しますね。

目次

コンサルティング契約書とは

コンサルティング契約書とは、自社が外部のコンサルティング会社等に、事業収益の改善や経営の助言・アドバイス等を求める場合に締結する契約書を指します。

また、コンサルティング契約は『委任契約』と『請負契約』、どちらに該当するのか?という質問が多いですが、こちらに関しては、依頼内容によりますが多くは請負契約に区分されます。

理由は、コンサルティング契約はアプリの開発やオーダーメイドの家具の制作など、仕事の完成物の引き渡しを目的としているわけではなく、経営の助言・アドバイス等を目的としているためです。

仕事の完成を約束して相手方に引き渡す契約を『請負契約』、依頼者のために法律行為を行う(ベストを尽くすが結果は約束しない)ことを『委任契約』と認識しておけばよいでしょう。

コンサルティング契約書の特徴

コンサルティング契約書は、委託会社の財務状況やニーズをヒアリングし、それに合わせて個別に契約書をカスタマイズしていく必要があるため、汎用的な契約書を用いることは適していません。ネットで簡単に拾えるひな型を用いることは大変危険ですので止めておきましょう。

またコンサルティング契約の期間は、半年から長くて数年に及びものもありますので、中途解約の条件や報酬規定について相手方と十分な打ち合わせが必要です。

コンサルティング契約書で注視すべき点

それではここからコンサルティング契約書を作成・締結する時に注意する点について解説します。

目的

参考

第1条(目的)
甲は、自社の新商品の販路開拓のための助言及び指導(コンサルティング)を乙に委託し、乙がこれを承諾したため本契約書を締結する。

契約の目的条項は、それ自体が相手方へ法律行為を拘束するものではありませんが、当事者同士のゴールの共有を計るためにも定めておくことが理想です。

委託者の『収益改善』や『新規事業の支援』などを明記しておきます。

コンサルティングの業務内容

コンサルティング契約書の重要事項です。

  1. ○○の販売に関する助言及び指導
  2. ○○の販売に関する競業他者のリサーチ
  3. これらに付随する一切の事項

上記は業務内容の一例ですが、③の様に包括的に規定を加えることで、委託当初には予期していなかった事項にも対応することが可能。

ただし受託者(コンサルティング会社)側の立場の視点では『一切の…』はできるだけ多用するのは避けましょう。

なぜなら、受託範囲を広範にすればするほど規定の料金の範囲内で多くの業務を請負う義務が発生するリスクが生じるから。

委託・受託業務の範囲が広く契約書面に書ききれない場合は『別紙記載の業務』と明記し、別紙にまとめる方法でも構いません。

委託料(コンサルティング料)

参考

第○条 委託料(コンサルティング料)
本契約の委託料は、月額金○万円(消費税抜き)とする
2 本件業務の遂行に必要な交通費、宿泊費は甲の負担とし、その他本件業務の遂行に必要な実費分は乙の負担とする

ここでは、委託料の支払い方法について定めます。

パターンとしては以下の様な方法があります。

  • 年額で定めて、一括払いにする
  • 年額で定めて、6ヶ月ごとに支払う
  • 年額で定めて、毎月払いにする
  • タイムチャージ制にする
    (例)時給金○○円(消費税抜き)とする
  • 完全成功報酬制にする
    (例)顧客を1社獲得するごとに金○○円(消費税抜き)とする
  • 売上に応じた歩合制にする
    (例)本件業務の月間売上額の○%(消費税抜き)とする
  • 着手金と報酬制にする
    (例)着手金 金○○円(消費税抜き)とする
    報酬金 月末を締め日とし売上額の○○%(消費税抜き)をとする

また、委託料の範囲や払込方法ついても定めておきます。

  • 口座振込み
  • 手数料の負担
  • いつを締め日とするのか
  • 請求書はどのタイミングで発送するのか
  • 前払いとするのか
  • 持参して支払うのか
  • 実費が発生した場合はどのように精算するのか
  • 実費分はどこまで含まれるのか
    (例)人件費、出張費、宿泊費、交通費、書類の収集費用、調査活動費等

ここまで詳細に定めておくことが理想です。

「本契約書に定めのない事項については甲乙が協議の上…」と一旦逃げる形を取ることが可能ですが、これは問題を先送りにすることと同じです。面倒ですが、可能な限り契約書面に記載しておきましょう。

契約期間の途中で解約を認めるのか

契約期間の途中であっても、委任者(委託者側)の様々な事情により終了せざるを得ない場合があります。

この場合、中途解約を可能とするのか否かが問題となります。

この点について民法では下記の様に定めています。

民法651条1項、2項要約

1 委任は各当事者がいつでも契約を解除することができる。
2 ①契約の解除が相手方の不利な時期になされる場合②委任者が受任者の利益(専ら報酬を得ることによるものを除く。)をも目的とする委任を解除したときは、やむを得ない理由があった場合を除いて、解除する側の当事者は、相手方の損害を賠償しなければならない。

委任契約は各当事者はいつでも契約を解約できる、と定めています。

とは言え、委任者(委託者側)の都合で「今月末で解約だ」と突然言われても受任者(受託者)は困ります。

この様な自体に備えて、通常解約権の行使については、数ヶ月前までに、あらかじめ文書により予告をしなければならない、と定めておきます。

また民法では「契約書で受任者が報酬を受ける旨の定めをしておいた場合であっても、それだけでは解除の際に損害賠償しなくてもよい」とされていますので、受任者(受託者)の立場としては「受任者がこれにより損害を受ける場合は、その損害の賠償が必要である」旨も記載しておいた方が良いでしょう。

参考

本契約期間中、乙は、甲に対して、○か月以上の予告期間をもって書面により本契約の解約を申し入れることができ、予告期間の満了と同時に本契約は終了するものとする。ただし、乙は、○か月以上の予告に代えて、○か月分の報酬を支払うことにより本契約を即時解約できるものとする。
2 乙が前項の解約を行う場合に、甲に損害が生じた場合は乙は甲に対してその損害を賠償しなければならない。

契約期間の途中終了時の委託料

委任契約は、上記の様に契約期間の途中であっても解約することが可能です。

この場合、報酬(委託料)の支払い額について、どれだけ支払わなければならないのか?が問題となることがあります。

民法では、委任者は受任者に対して、既にした履行の割合に応じて報酬を支払わなければならない(民法648条3項)と定めています。

民法648条3項

3 受任者は、次に掲げる場合には、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる
一 委任者の責めに帰することができない事由によって委任事務の履行をすることができなくなったとき。
二 委任が履行の中途で終了したとき。

この条文を踏まえた上で、実際の契約書に内容を落とし込むと、以下の様になります。

参考

第○条(契約の途中終了時の委託料)
本契約が解除その他の事由により途中終了した場合、甲は乙に対して、終了時点の履行割合に応じた額の委託料を支払うものとする。

このとき「受任者(受託者)側に帰責事由がある場合は、受任者(受託者)は委託料を請求できない」と第2項で付け加えることも問題ありません。

契約期間

コンサルティング契約は、契約期間の満了と同時に終了しますが、状況によっては自動的にもう1年間延長となったり、委任者(委託者)側の希望により延長する場合もあります。

契約を延長しない場合

まず、自動延長を絶対に認めない場合はその旨を明記します。

また契約期間の満了までに契約延長するか協議をおこなった結果、協議が整わない場合もあります。

その場合は「契約期間の満了と同時に契約が終了する」と定めます。

契約を自動的に延長する場合

契約を自動的に延長する場合、一般的には書面による異議の有無でその結果を決めます。

参考

…省略…甲乙いずれからも書面による異議がなされない場合、本契約は期間満了日から同一内容にて更に1年間延長されるものとし、以後も同様とする。

コンサルティング契約を延長するか否かの決定権を、委託者のみに与えても問題ありません。(委託者有利)

この場合は、上記の異議を申し出者を甲乙ではなく、委任者(委託者)に限定し、反対に受任者(受託者)有利としたい場合は、受任者(受託者)に限定します。

結果の保証

コンサルティング契約は、コンサルティング報酬が何百万円から数千万円まで、高額になるケースが多いです。

それだけの委託料をコンサルタント会社に支払うわけですから、委託者としては業績改善、収益向上を期待しないはずがありません。

しかしどれだけコンサルタント会社が優秀であったとしても、その結果を確約することは不可能でしょう。

ここで必ず契約書に盛り込んでおきたいの条文が『保証条項』。

受託者側は「コンサルタント会社は委託者の為に最善を尽くすが、委託者の目標数値を必達することを保証するものではない」旨を定めておきます。

もしこの条項が抜けていた場合は、委託者側としては有利な立場に転じることも合わせて押さえておきましょう。

まとめ

コンサルティング契約を作成・締結するときに気を付ける7つのポイントについて解説しました。

  1. 契約の目的は具体的に示されているか
  2. コンサルティング内容が具体的に示されているか
  3. 委託料、実費負担分の規定は具体的に示されているか
  4. 契約期間の途中で解約できるか
  5. 契約期間の途中で解約するときの委託料の支払い規定は具体的に示されているか
  6. 契約期間は具体的に示されているか
  7. 結果の保証条項が定められているか

コンサルティング契約は、その委託料が高額になりがちです。

契約担当者は、契約書の作成時や受け渡された契約書をチェックする際、最低限これらの7つポイントは押さえておきましょう。

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